「転職経験なしの私は世間知らずなんだろうか?」「転職しないと何か損しているのだろうか?」長く1社で働いている人で、ふと転職が頭をよぎったときにこう考える人もいることでしょう。私自身転職を重ねてきた経験と、面接官として転職経験の多い候補者を見てきた経験から、世間知らずなのか?について解説していきたいと思います。
転職経験なしは世間知らずと言われる。その理由は?
多くの人が転職を経験しているから
こちらのデータは社会人として就業年数ごとに集めた転職経験者(正社員)のデータです。まず事実として、全体で見たときの転職経験者の割合は、男性が51.2%, 女性が61.2%となっています。
以下は、グラフから見て取れる結果です。
- 5年未満の層では転職経験者は男女ともに15%程度
- 就業後5年~9年になると転職経験率はぐっと上がり男性が38.2%、女性46.3%
- 就業後5年~9年以降は女性の方が転職経験率が高くなる
- 就業15~19年になると男女ともに半数以上が転職を経験する
他の会社組織やカルチャーを知らない
転職していない一社経験の人は当然一つの会社組織のことしか知りません。
組織、人、仕事に関しても1社という限定された経験・知見だけになるので、世間知らずといわれるゆえんはこれが最も大きな部分なのでしょう。
会社は、同じ業界や競合他社だとしても、組織運営の方法やルールは違うでしょうし、社風も違うので、似ている部分はあれど全く違う環境となります。
その会社の仕事しかできないと思われる
前述したとおり、会社によって仕事の仕方が違いますから、その会社だけでしか通用しない仕事をやっている可能性もあります。
特に1社経験のみで大企業の場合、本当に一部分のみの狭い範囲の経験に限定されてしまいます。
転職することによる長期的なメリット
給料が上がる
まず、1社に滞在していると給与の上がるタイミングというのは昇給のタイミングのみですが、転職をすればあなたのスキルを求めている企業に行ったり、あるいは給与水準の高い業界に行くことで給与を上げることが可能です。
極端な例ですと、新卒で入った会社で給与が上がるタイミングがなく、そのままの給与で働き続けるということもあり得ます。
仕事の幅が広がる
転職をすることで新たなスキルを身に着けたり、違う分野での経験を得ることができます。これによって、あなた自身の市場価値を上げることができるため結果的に給与にも反映されます。
一社で価値が高くなるスキルをすべて身に付けるということは非常に難しいでしょう。それよりも新たなスキルを身に付けたくなったタイミングを新たなチャレンジと認識し、転職して価値を上げていくのは、合理的でかつ健全なキャリアの歩み方と言えます。
複数の企業やビジネスを知ることができる
複数の企業やビジネスを知ることで、組織についてやビジネスモデルなどを知ることができます。
逆に転職をせず1社の会社でキャリアをまっとうするならその会社のやり方がすべてで他の企業、業界などのやり方や社風といったことが
新しい人との出会いがある
人に影響を受けて やはり自分にあった会社には、自分に合った人がいるものだと思います。私も所々で影響を受けた上司や周りの人がいて、それによって成長したと思う部分も多々あります。環境を変えることで心機一転モチベーションも高くなり新たな人と切磋琢磨して成長するでしょう。
転職市場での自分の価値を知ることができる
一つの会社にとどまっていると自分が転職するといったときにどれくらいの価値があるのかを考えることがありません。よって、市場での自分の今の価値、どういった人材やスキルが求められているのかも分かりません。
一度転職活動をすると、そのプロセスの中で自分の市場価値や求められているスキルが分かるので、そこで新しい目標ができたり、キャリアで目指す方向が分かったりします。
転職経験なしが機会損失となっていること
給与アップの機会
私は目先の会社の給料が低くても最終的に給料は適正化されると思っています。しかし、現状低い給与がその会社にずっといることで上がるのではなく、転職をしなければ適正化は難しいでしょう。
必要な時に、目的に沿った転職を行うことで最終的に市場価値に応じた給与を受け取ることができるでしょう。
仕事の幅を広げる機会
一つ仕事の専門性を深堀することは大切ですが、さらに専門性に付加価値をつけていくには業界を変えたり、マネージ力を身に着けるなどで今の専門性の幅を広げていくことが必要です。どうしても一つの会社で幅を広げるというのは難しいこともあります。
自分が経験したかったりチャレンジしたい領域ができたときは動かないと逆に機会損失になってしまうと言えるでしょう。
専門性を深掘りする機会
専門性に特化することも実は転職することでさらに深堀することができます。例えば、私の領域デジタル領域でDXという領域がありますが、小売り業の領域もあればサービス業の領域もあります。片方の経験よりも、二つ経験を有していることで、よりDX領域の専門家とみられます。
逆に一つの会社で一つの専門領域をやっていた場合などは専門分野があるにしても、たまたまその領域に携わったと取られることもあり、複数社で専門性を深堀りした人に比べると主体性という意味では劣って見えることもあります。
時代のトレンドにあった仕事に出会う機会
転職活動では、積極的にある特定分野の職種を探している業界が必ずあります。世の中で人材不足の領域が転職活動のマーケットに反映されていたりするので、そういった仕事に敏感になり、自分の仕事領域のニーズを知り、その領域に転職することが可能となります。
様々な企業を知ること(文化・ビジネス)
複数の企業文化やビジネス体系を知ることは、ほかのビジネスや仕事にも知見として応用できます。複数社を経験することによって、1つのビジネス経験だけでは知ることができないような仕事のやり方や組織の作り方など、1社の中にいてはわからないであろうこと知見として蓄積されます。
転職経験なしでも世間知らずと言われないためには
社内で様々な部署を経験する
大企業などでは部署やグループ会社などで文化がかなり違うところもあります。そういった場所に異動をして多くの経験を積むことは転職をしていると同様の経験ができる可能性があります。
私が所属していた企業では欧米にも拠点があり、その拠点を転々としながら仕事をしていた人がいて、その経験から世界中の仕事に関する知識や文化についてとても広い知見を持っていました。1社でも主体性があり多くの経験を積むことができます。
大学に行ったり社外のネットワークを広げる
社外のネットワークを広げることで違う業界や職種の人と出会うことができ、色んな体験を聞くことができます。新しい種類の人々に触れることで刺激を受け成長することもあるでしょうし、仕事の経験について聞くことができます。
読書で疑似体験をする
ビジネス系の本を読むことで自分とは180度違う業界にいる人の経験などを疑似体験する事ができます。
違う業界の人、成功者の体験などを1,000円前後で疑似体験することができます。これほどコスパの良い投資もなかなかないと個人的には思っています。
転職エージェントや採用関係者との関係を作る
転職をしないにしても、転職市場の情報収集や自分の今の価値を知るためには転職エージェントと繋がっておくと良いでしょう。
市場で求められている人材やスキル、自分の現在の価値はどの程度なのかを知るために一度登録してみることをお勧めします。
転職経験なし世間知らずと言われても転職に成功する4つの方法
1.1社経験でも主体性を見せる
私が候補者と面談する時に1社経験の人に対して聞きたいことは「主体性があるかないか」です。採用側から見ると、会社に言われたことだけこなしている人よりも当然主体性もって動き、成果を出している人が望ましいです。
よって1社経験の中でも主体的に動いて仕事をしていた印象を残すために「提案から入って形にした仕事」などを説明すると良いでしょう。
2.1社経験の良い面をアピールする
考え方によっては、1社経験は良い面がたくさんあります。「粘り強く一つのことに取り組む」「一つの企業に忠実」「上司からの信頼が厚い」など面接官が「なるほどだから1社で長く働いていたのか」と思わせるような部分をアピールすると良いでしょう。
3.1社経験が好まれる業界に行く
業界や企業が伝統的な業界であると、その業界内で「転職があまり一般的でない」業界もあります。日本の製造業や銀行などは一例です。
内部事情に詳しい転職エージェントのコンサルタントを見つけるとそういった企業を紹介してくれます。
4.自分に合った転職パートナーを見つける
1社経験が好まれる業界を知っていてかつあなたを理解してくれるコンサルタントに出会えればキャリア生涯のパートナーとなることでしょう。そういったパートナーと出会うためにはまずは情報収集をしながら複数の転職エージェントと交流してみることが必要です。
まとめ
転職せずに一社だけの経験の人は、仕事内容としても、面接官の印象としては主体性に欠ける人だという印象をもつでしょう。
また、スキルの幅を広げるということが、1社の経験では難しい場合もあり、その点、何社かキャリアアップしてスキルを身に付けた候補者に比べると不利になるケースもあります。実際には、人柄やカルチャーフィットなど様々な要因があります。
また、転職することで世間を知れるという意味では、以下のようなメリットがあります。
- 複数企業の文化やビジネスを知ることができる
- 違う人との出会いがある
- 仕事の幅が広がり成長がある
- 自分の専門領域を拡張できる
一社経験が必ずしも間違いではありませんし、世間知らずと言われるから転職するという動機は適切ではありませんが、キャリアでどうしても身に着けたいスキルや主体的に動きたいと思った時のために中長期視点で、転職市場についての情報収集はやっておいた方が良いです。
<おすすめ関連記事>
【2023年版】転職方法完全ガイド ~年代別・種類・流れについて~
【2023年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)