中途採用の面接での逆質問は、応募した企業のことをよく知るためや仕事内容が本当にマッチしているかを知るための良い機会です。ただし、聞き方によっては印象を悪くしてしまうこともあります。
筆者の採用面接官側の経験から、面接でどのような質問が適切か面接別に解説していきます。
中途採用の逆質問はアピールのためではなくミスマッチを防ぐため
よく中途採用の面接での逆質問で「アピールするチャンスだ」というアドバイスを見かけますが、私の採用面接官側の経験から言うと、必ずしも応募者がアピールできる部分だとは思いません。(新卒面接であれば質問によっては「意気込みがある候補者だ」となる可能性はあるかもしれませんが。)
質問から話が盛り上がり雰囲気が良くなるケースはありましたが、「あの応募者は良い質問をしていたから次の選考にも進んでもらいたい」とはなりませんし、むしろ内容によっては印象が悪くなってしまうケースもあります。
基本的には中途採用面接での逆質問は、自分がその企業や応募したポジションについての疑問を払拭するためのものだと捉えて質問をすることが基本線です。
中途採用面接の逆質問:ミスマッチを防ぐための質問
中途採用の面接での逆質問では、会社や応募したポジションについての詳細が良くわかる質問が良いです。自分のための質問ですから、過度に面接官の顔色をうかがうような質問ではなく、自分がきちんとクリアにしておきたい質問をしましょう。
その際になんでも質問すれば良いというわけではないので、あくまで部外者という立場で適切な質問をするべきでしょう。次にOK、NGについて事例を交えて解説していきます。
①カルチャー面について聞く(人事向け)
企業文化は一番重要な部分で、あなたに合うあわないが決まる部分です。文化が合っていないと疎外感を感じてやる気を喪失してしまったり、ストレスを感じてしまうことになる可能性があります。
カルチャーをよく知るためには、その企業のVision,Mission,Valueについて質問することで、目指しているところ、行動指針に基づいて社員が働いているかがわかります。(ホームページに書いてあるので事前にチェックして深堀質問しましょう。)
また、事前に自分にとって好ましい企業文化について理解しておきましょう。合う合わないはあなたが育ってきたバックグランドに関係があります。例えば、文科系のサークルや部活動をしてきた人が体育会系気質の会社には馴染まないでしょうし、逆もしかりです。
その企業でどんな人が働いているかを知ることも大きなヒントになります。
②仕事内容(直属上司の面接での質問)
(仕事領域)/(チームメンバー)/(チームの働き方)/(仕事の仕組み)など、自分の仕事内容についての解像度を上げるために、可能な限り疑問を持った部分は聞いておくべきでしょう。
特に誰と仕事をやることになるかは確認しておくことをおすすめします。同じチームにいる人、良く取引がある取引先の人などは毎日一緒に働く人となります。特に一緒に働くチームメンバーには採用が進むにつれ、一度合わせてもらえることをおすすめします。
③期待する人材のタイプについて(直属上司への質問)
入社してから期待していた人物像と全然違う、といったミスマッチを避けるためにも、事前にどのような人材がそのポジションに求められているかを知っておくことが大事です。
あまりに自分とかけ離れている場合は、入社後に評価もされず活躍できないという事態に陥る可能性があるからです。
④会社の展望について(取締役や社長へ向けた質問)
④会社の展望について(取締役や社長へ向けた質問) 最終面接で経営陣や社長面接となる場合は、貴重な機会なので直接経営のビジョンなどについて聞いてみましょう。
大企業などでは入社してから経営陣と話す機会がないこともあるのでできるだけこのタイミングで会社の将来が想像できるような質問をしておくと良いでしょう。
中途採用の逆質問OK・NG例:対人事
人事は一歩引いて会社を見ていて、客観的に文化やチームの状況を見れていることがあります。評価制度なども知っているため逆質問をして、知りたいことをクリアにしておきましょう。
OK例
「人事から見て、応募先のチームの雰囲気はどういう感じか?どういった人が求められていると思うか?」
「カルチャー的にフィットするような人はどういった人でしょうか?」
「御社の評価制度について教えてください」
「希望部署への異動制度などはありますか?」
NG例
これらの質問はその企業の労働条件が悪いかもしれないという前提での質問になるのでNGです。
「法定労働時間を超えて働いている人はどの程度いますか?」
「労働基準法に触れるような働き方を強いられた場合、相談窓口などはありますか?」
「御社で懲戒解雇になった事例などがあれば教えてください」
中途採用面接の逆質問OK・NG例:対直属の上司
通常、1時面接が自身の上司となるレポートラインの人との面接となることが多いです。
ここでは、職務領域詳細についてや現状のチームの状況について教えてもらいましょう。当然ながら自分の上司となる人ですからあなたに期待することをわかっているはずなので、後々ミスマッチとならないようよく聞いてみましょう。
OK例
「このポジションにどういった人物を期待されますか?」
「今回のポジションでは何個か職務領域がありますが優先順位とそれぞれの展望について教えてください」
「新しい仕事の提案に対してどの程度柔軟にチャレンジさせてもらえますか?例があれば教えてください」
「仕事を推進するうえで社内外で関わる会社や部署について教えてください」
「チームのメンバー構成や雰囲気について(どんな方がいるか)教えてください」
NG例
これらの質問は、実際にマネージャーとなる上司の指向性を聞いて、うまく評価されたいということが見え隠れしますのでNGです。
「どんな部下を評価しますか?」
「部下の仕事どのくらい細かく管理されますか?」
「どの程度の残業が理想だと思いますか?」
中途採用面接の逆質問OK・NG例:対取締役や社長(最終面接)
最終面接などでの重役との面接では今後のビジネスの展望としてどういったビジョンをもっているかなどを聞きましょう。
マネジメントの方針が結果的には自分達が日々推進していく仕事の内容にも落ちてくるので聞いてみることをお勧めします。
OK例
「御社は〇という事業を基軸にして発展してこられていますが、〇〇に関しての今後の展望について教えてください」
「〇〇以外で新規事業として展開していくような事業は何かありますか?」
「〇〇という事業の職務領域(応募している自分の領域)にはどういったことを期待されていますか?」
「業界でのポジションが今〇〇という認識です。今後新規事業含めてどういったポジションを狙っていくかビジョンについて教えてください。」
「海外展開の可能性について教えてください」
NG例
これらは重役に聞くには失礼な質問なので控えておいたほうが無難でしょう。
「御社の業績が数期連続で2桁低下していますが将来性についてどう考えていますか?」
「社員が働きやすくなるようなことで努力していることはありますか?」
「どのようなキャリアを歩んでこられましたか?」
「社長になろうと志を持ったのはいつからですか?」
中途採用の逆質問で聞いてはいけないこと
ホームページに載っている情報などについて聞く
「企業理念について教えてください」「拠点はどこに構えていますか?」などのホームページなどに公開されている情報を聞くのはNGでです。
その会社についての勉強不足だと思われたり、真剣みがないととらえられることがあります。
企業秘密に当たる部分について聞く
まだ公になっていない情報、上場予定日や売り上げに関する情報を聞いたりするのは避けた方が良いでしょう。
福利厚生について細かく聞く(人事面接以外)
福利厚生に関しては、基本的には人事が説明してくれるので、人事面接でない場合は、面接後に直接応募の場合は人事担当者に、エージェント経由の場合はエージェントの担当者に聞きましょう。
面接に関しての具体的な日程や合否について聞く
面接の最後に自分が次の面接に進めるかどうかは、直接ではなく、担当人事からの連絡をまったり、エージェント経由の場合はエージェントに後から聞きましょう。
おすすめの転職エージェント
JAC(ジェイエイシー)
伴奏力が高いエージェントです。
エージェントのマッチング力は最初の面談時のヒアリング力が鍵となりますが、ヒアリング力が高くそれが結果的に求人紹介のマッチング力、スピードが高いエージェントです。
採用側から見ても候補者の提案力が他のエージェントに比べ非常に高いのが特徴です。面接対策も充実していますので初めて使うエージェントとしてもお勧めします。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、私が初めて使った転職エージェントでしたが、特に30代前後の転職希望者にとってはお勧めのエージェントです。
担当者が親身になってキャリアパスの設計方法など教えてくれたり面接前のアドバイスや面接後の反省点などを一緒に考えてくれます。
古くからある大手エージェントなのでシステム化されていてフォローアップもまめに行われます。
dodaエージェントサービス
dodaエージェントサービスは、日本全国での取引実績があります。
また、登録するとあなたの専任キャリアアドバイザーが付いて、転職活動を最後までサポートしてくれますので、エージェント活用が初めての方にも安心です。
転職市場や、業界、職種の知見が豊富な転職のプロが、キャリアプランの相談や、職務経歴書や履歴書の添削、模擬面接や面接の答え方のアドバイスなど、選考通過のへ向け手厚いサポートをしてくれます。
外資系のエージェントのお勧めはこちら:【2023年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)|転職ゲートウェイ
まとめ
中途採用の逆質問は何より自分のためです。以下についてできる限り解像度高くできるよう、質問をしましょう。
- 企業文化
- 仕事内容
- 期待する人材のタイプ
ただし、面接官やポジションに応じて適切な質問を心掛けることが最低限のマナーです。
企業秘密や、ホームページを見ればわかるような情報は避けましょう。
あくまであなたも採用企業を見極める視点での逆質問ができれば転職の成功率も上がるはずです。
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