「自分には学歴がないけど、転職の際に学歴ってどれくらい見られているの?」「学歴さえあればもっと楽なキャリアを歩めていたのではないか?」このように考えている人もいるのではないでしょうか。
あるいは、学生の頃真剣に学歴について考えていればよかったと思っている人もいるかもしれません。
結論から言うと、中途採用において学歴はそこまで関係ありません。即戦力かどうかが選考の基準となるからです。また、転職市場において学歴が関係なくても市場価値を上げる方法についても書きました.「それでも学歴を良くしたい」という方にも、学歴を良くする方法もありますので、その辺もお伝えさせていただきます。
中途採用で候補者の学歴はどこまで見られる?
私自身が中途採用面接で多くの候補者を選定するにあたり、基準としてきたことを踏まえて解説します。
まず、中途採用は即戦力採用が基本ですので、学歴よりもキャリアでどのような経験や実績を持っている人かが選考における基準となります。まず学歴から見るということはありません。
新卒採用の際は、そもそもキャリアの実績がありませんので、一つの目安として学歴を見ることはありますし、学歴でフィルターしている企業もありますが、中途採用では即戦力として採用できるスキルや経験があるか、がメインの採用基準で、次にカルチャーフィットするかどうかの人柄になるでしょう。
私含め、面接官が採用活動をする際は、学歴というフィルターなしで面接に臨みます。そしてその人物を評価する際に、改めて経歴を見てみて「この大学の出身なんだ」と思う程度です。高学歴だから優位になるということは決してありません。
転職者の処遇を決定している要因データ
こちらは転職者の処遇をどのように企業が決定しているかという厚生労働省のデータ(令和2年度)になります。学歴により処遇が決まっている割合は0.6%しかありません、これまでの経験や能力、知識が53.7%と圧倒的な決定要因となります。
この背景としては、キャリア採用においては、候補者が入社してパフォーマンスを上げてくれるかを一番気にするからです。その際学歴が優先事項となる理由はありません。
事実、これまで私が働いてきた経験の中でも、高学歴の人だから仕事でパフォーマンスを発揮するという人はむしろ少なく、高学歴だからこそ自分の考え方に固執して柔軟に動けなかったり人と関係性を作るのが苦手だったりという人もいます。キャリア採用では結局のところ、スキル面と人柄が常用なのです。
例外的に学歴重視する業界や職種
基本的にはキャリア採用は経験重視という話をしましたが、中途採用であっても、例外的に学歴を重視する業種というのが存在します。
これらの職種は一定の地頭の良さを必要とするような業種であるため一つのフィルターとして学歴を見ています。
- 一部コンサルティングファーム
- 金融
- 財閥系大手商社
学歴が全く関係ない業界
反面、学歴は一切関係ないという業種が存在します。IT関連は非常に特殊な技術で、若くしてスキルさえあれば学生のころから活躍できる分野です。
また、ホスピタリティ関係の業界も同じく学歴がほぼ関係ありません。コミュニケーション能力やピープルスキルと呼ばれる対人能力が問われる業種です。学力では測れない能力が必要になるためです。
- IT業界
- 小売り
- レジャー
- 飲食などのホスピタリティ業界
学歴がなくても転職市場価値を上げる3ステップ
1.専門性を高める
まずは何かの分野の専門家になることを目指します。専門性が高いほど市場価値は上がり、即戦力として採用される人材になります。あなたがいわゆる日系企業の総合職という様々な職種をローテーションしてきたとしても、その中でも深い経験をしているものや自分がやりたいことで専門性をとがらせてください。
また、職務経歴を伝える際に、総合職で様々な経験をしたからと言って全部伝える必要はありません。進みたい方向性にあった職種の経験を抜粋し、その分野での実績を書くようにしましょう。
2.ソフトスキルで武装する
コアスキルに加えてソフトスキルと呼ばれる業務を進めるにあたって必要な能力を備えましょう。一つのスキルだけで突き抜けられるのは一部の天才だけです。
それより、ソフトスキルをあわせた複数スキルをかけ合わせてオンリーワンの人材になることを目指しましょう。実際、凡人の私もこの方法でキャリアを渡り歩いてきました。
掛け合わせが多いほどニーズは少なくはなりますがオンリーワンにはなれます。
(ソフトスキル一例)
- コミュニケーション能力
- 英語や中国語などの言語
- 問題解決能力 など
3.ニーズのある業界に行く
業界によっては、あなたのスキルが非常に重宝される業界があります。そのような業界を、転職市場の情報収集を知りながら見極めましょう。
ニーズが高い業界では人材不足のケースも多く、あなたの価値は上がりやすいです。先に述べたコアスキルとソフトスキルのかけ合わせで価値を上げることに加え、ニーズの高い業界に行くことでオンリーワン人材を実現する可能性は高くなります。
ニーズの高い業界で、オンリーワンとして前例がないことをやり実績を上げればあなた自身の価値がさらに上がり好循環を生むでしょう。
社会に出てから学歴を良くする方法
それでも学歴を上げたい、という方も就業しながら大学で学士を取ったり、大学院でMBAを取ることもできます。
中卒・高卒の場合
昨今では、社会人向けの通信制大学やオンラインでの大学がたくさんあります。企業によっては、大学卒と中高卒の待遇が違う企業もまだありますので、まずは大学卒という身分を取りたいという方はオンラインなどですとかなり費用も抑えることができますのでお勧めです。
大学院で修士を取得する
たとえ出身校が巷でFラン大学と呼ばれるような学校の出身だとしても、キャリアアップのためにMBA修士を取る際に狙う大学院は、難関大学にも入ることができたりします。学士のころに比べて競争も低いです。
どうしても学歴をグレードアップしたいという方は、大学院でMBAなどを取得する際には、そのような名門大学を目指すのもありかもしれません。
海外の大学で修士を取得する
外資系企業を目指す方は海外の大学でMBAを取ることでアピールすることができます。日本に姉妹校があり、同等のMBAを提供している大学もありますので、そのような大学は海外に移住して通学するより比較的コストも安く修士を取得することができます。
また、オンライン完結で(一部卒業論文などで現地訪問することもある)修士を取得することができるところもあります。こちらもかなり割安で現地の学校のMBAを取得でき、プログラム自体も通学と遜色ないのでお勧めです。
履歴書の学歴はどこから書くか?
履歴書の学歴は厳密な決まりはありませんが、高校卒業くらいから書くことが一般的です。あまりに学歴が少ない場合は中学卒業を入れてもよいでしょう。
企業は学歴をどうチェックするか?
一般的にオファーレターをもらい、サインを返送したらその後のプロセスで卒業証明書を求められます。卒業証明書は学校のホームページなどから証明書の送付手配ができます。
現在ではほとんどの場合が、大学のホームページからオンラインで依頼をして配送してもらえることが多いです。
まとめ
中途採用の転職で学歴はあまり関係ありません。私自身、そこまで知名度の高くない大学の卒業ですが、キャリアの内容でこれまで転職を重ねてきていますし、ヘッドハントなどのお声がけをいただくことがあります。
もちろん目的ありきですが、学歴自体は学士のころには狙えなかったような有名校で修士を取得することで良くすることもできます。
ビジネスパーソンとしての本当の価値を上げていくという意味では、本記事で書いたような自分自身の価値を高めるよう計画的に戦略的に経験値を上げていきましょう。