「異業種に転職したいと思っているけども何歳まで可能なのだろう?」「リスクはどの程度あるのだろうか?」「成功のポイントは?」
など未知なる業種へのチャレンジはいろいろと不安がよぎることもありますが、後悔するくらいであれば何とか行けるようにしたいものです。
この記事では、異業種に行きやすい職種や異業種転職で成功するポイントについて紹介しています。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
異業種転職について
異業種転職とは?
そもそも異業種転職とは何でしょうか?「業種」とはその企業が行う事業の種類をもとにされた分類のことで、主に商品やサービスの種類で分類されています。日本企業の分類は総務省によって定められています。違う事業の分類に行くことを異業種転職と言います。
一方で、業界というのはもう少し業種の粒度を具体的に細かくした分類です。
例:業種が「サービス業」で業界がその中での「人材業界」「コンサルティング業界」など
また、職種とはあなたのコアスキルとなる役割のことです。「経理」「営業」「人事」などがそれにあたります。
異業種転職のパターン
異業種ー同職種
職種はそのままで異業種に転職するパターンです。のちに見る異業種転職のデータでも分かりますがじつは職種を変えずに異業種に転職するパターンはそう珍しくありません。
異業種ー異職種
業種も職種も変えて転職するパターンで当然難易度は上がりますし、年代的にも限界になってくる節目もあります。
次にそれぞれのパターンが何歳まで可能なのか、年代別に見ていきます。
異業種転職の実情について
※厚生労働省による令和2年転職者実態調査参照
こちらのデータでは、一番異業種からの移動が多いのが「生活関連サービス業」次の多いのが「娯楽業およびサービス業(他に分類されないもの)」3番目に多いのが「運輸業、郵便業」となっています。
その他にも「医療、福祉」を除くすべての業種で異業種からの転職が50%以上となっていて異業種への転職がそこまで珍しくないことが分かります。
異業種転職のタイミングは何歳まで可能か?(年代別)
20代
異業種ー同職種
20代で異業種ー同職種間の転職は特殊な業種であっても若ければポテンシャルを持っているとみなされるので、長期的に人材育成を行っているような企業ではとくに受け入れは問題ないでしょう。
異業種ー異職種
20代で業種も職種も変える転職です。一定のハードルやリスクはありますが20代であれば十分可能です。ただし未経験者可となっている求人に応募する必要があるので、選択肢は限られることは理解しておきたいです。経験を積むことを優先に考え検討しましょう。
また、20代後半になればより職種変更は厳しくなりますが、過去の経験と親和性のある経験や個人で実績を上げていれば転職できる可能性は高くなります。
30代
異業種ー同職種
30代の異業種への転職は、ある程度成熟したスキルを持っている方が多いと思いますので、そのスキルが求められている業種に行くことが市場価値を上げやすくなります。また、ニーズのある業種では新たに部署が設立されたりして1社で募集ポジションが複数出る機会があります。ニーズがある程度飽和している業種でも人員の入れ替わりなどでポジションは発生しますが、確率はより少なくなり、候補者の応募数も多くなる傾向です。
異業種ー異職種
異職種へのキャリアチェンジは30代後半になるにつれ厳しくなります。前半ではそれまでの経歴や個人で積んできた実績やモチベーションの見せ方次第では可能でしょう。ただし、経歴が営業など人と接する対人スキルが必要とされるもので、これまでに似たような経験がある職種であれば比較的転職しやすくなります。転職エージェント経由ですとなかなか取り合ってくれないケースもあるので、主に転職サイトなどで直接応募する方法が良いでしょう。
30代の転職についてこちらの記事もご参考ください→「30歳の転職事例と転職パターン別成功のポイント」「30代ハイクラスの転職に求められるスキルと成功する方法」
40代
異業種ー同職種
40代であっても同職種であれば異業種への転職は十分可能です。(事実私は40代で2度の異業種への転職をしています)。可能性としては自分のスキルを生かしてその分野を推進していきたいと思っている業種に行くことです。事業であれば事業部長として迎えられることもあるでしょうし、新設部署の部長だったり、マネージャーとして迎えられる可能性もあるでしょう。どの業種でニーズがあるか情報収集をして理解しておく必要があります。
異業種ー異職種
40代で異職種に行ける可能性はゼロとは言いませんが、転職によって意図的に異業種異職種への転職は非常に厳しいということは想像できるかと思います。
40代の転職についてはこちらの記事もご参考ください→「40代が転職に成功する4つの秘訣と成功事例」
異業種転職に成功するポイント
高い専門性をアピールする
~他業界への応用がきくスキルをアピールする~
異業種への転職する際に、特定スキルを持った人が非常に少ない場合は、多方面の業種からの人材を広く受け入れるケースがあります。
そのような企業に向け、自身の専門性の高さや異業種にもスキルが応用できることを職務経歴書や面接の際に表現することができれば異業種への転職はそこまで難易度が高いことではありません。
異業種でもこれまで培ってきたスキルが応用できるということを分かりやすく伝える方法は、自分が経験してきた分野の商材をグルーピングすることです。
例えば、私はマーケティングという職務に従事してきましたが、まったく違う業種に行く際には、有形商材のマーケッター、あるいはBtoC商材のマーケッターなど、より大きなくくりでグルーピングし表現して面接先の企業も当てはまるようにしていきます。
こうすることで基本的なスキルは持っていて、あとは知識が追い付けば即戦力になるという印象を与えることもできます。
ニーズのある業種を選ぶ
~自分のスキルが必要とされている業界 変革が進む業界について知る~
業種によっては時代の流れに追い付いておらず、急速に改革が必要な業種などがあったりします。IT化が遅れている業種や、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの改革が必要な業界など、様々あります。
そのような業種で自分のスキルが必要とされている業種であれば自身の価値を最大化することができますし、転職後も重宝される存在となります。
大事なことはそのような業種がどこなのか、自分の価値はそういった業種においてはどの程度の価値があるのかを知るために、常に情報を集めておくことです。エージェントなどの転職市場の情報を持っている人とつながり、定期的に情報交換を行うことをおすすめします。
どの業界にも通用するソフトスキルを磨いておく
ソフトスキルとはコアスキルとは別で業務を推進するうえで必要とされるスキルです。
代表的なものには、「コミュニケーション能力」「マネージ能力」「タスク管理能力」などがあります。特にコミュニケーションスキルは業種や職種問わず普遍的なものでどんな環境でもコミュニケーション能力が高いとなんとか仕事ができるくらい重要なスキルです。
面接官は面接を行う中であなたのコミュニケーションスキルや対人能力を見ています。人とうまく協業してタスク遂行できることをアピールしましょう。これは職務経歴書でプロジェクト推進などの経験の中でアピールしても効果的です。
異業種への志望動機、自己PRなどのまとめ方
志望動機を書くポイント
異業種への志望動機を書く際には、単純に同じ業種でさらに経験を積みたいという理由だけでなく、その業種へ移動したいという具体的な理由を伝える必要があります。
- 転職理由が過去の経験からつながり今回の転職の動機につながっている
- 成果をさらに多くの成果を上げたいということを加える
- 自分こそが適任である理由付けをする(可能な範囲で)
例)「これまでB to B 領域でカスタマーサクセスに従事して2年間で顧客満足度が1.5倍になるという成果を上げてきました。次第にもっと多くの人の問題解決をして顧客満足度を上げたいと考えるようになり、この領域でさらなる経験を積むべくB to C領域で経験を積みたいと思っています。その中でも私自身が長年使っている御社のプロダクト領域で経験が積みたいと考えています。」
このように一貫性があり、あなたにしかできない理由まで書くことができればベストですが、最低でもこれまでのキャリアと今回の異業種転職の動機がつながるようにしましょう。
職務経歴書
カバーレターを付ける
カバーレターを付ける目的は、採用担当者の目に留まるようにすることです。
一目見て自分にどんなスキルがあり志望動機はこうだから応募するということを明確にまとめておきましょう。特に人気企業や採用担当者が忙しい企業は一人一人のレジュメすべてを見ている暇はありません。そのような場合にカバーレターが効力を発揮します。
具体的な実績を数字で記載する
特に、異業種への転職の際には、できるだけ客観的に分かりやすいパーセントなどの数値で表現すると伝わりやすくなります。
例)「3か年で担当したウェブサイトのユーザー数を200%に伸ばした。それによって、年間利益5億円貢献することができた。達成するために行った内容は・・・。」
自己PR
面接の際には面接官は、提出済みの職務経歴書を見ながら話します。よって、自己PRはその職務経歴書と紐づくようなPRをしましょう。
実績をSTARメソッドで回答できるようにしておく
STARメソッドとは、以下のように順を追って自分がどんな問題解決を行ったかを説明する手法です。
特にSituationの時点で着目した数字が、実際の問題解決を経てどのように改善されたかが分かると客観的に分かりやすいストーリーとなります。
S(Situation):その時の状況がどうだったか
T(Task):その時の課題は何か
A(Action):課題に対してどういう行動を取ったか
R(Result):その結果がどうだったか
異業種でも結果を出せることを伝える
現状の会社の状況などを踏まえ、その会社が求めている領域で経験を生かして力を発揮できることをアピールしましょう。その際異業種であっても似たような状況で結果をだした経験があればあわせて伝えておくことが望ましいです。
求められている領域については企業研究をオンラインや転職エージェントなどを使いやっておくことが望ましいです。
異業種へ転職しやすい職種
職種の中には、異業種でも仕事内容が共通で、移動がしやすい職種があります。ここでは移動しやすい職種とその理由について挙げてみました。
フロント/ミドルオフィス
営業/販売職
営業や販売職で必要とされるの対人スキルなどのコミュニケーション能力、数値管理能力、社内調整などのスキルが挙げられますが、特にこれらのスキルは業種特化というものではなく、どのような商材の営業にも幅広く応用できるので、比較的異業種でも適用しやすい職種と言えます。
マーケティング
マーケティングのスキルは、商品企画、認知を上げるようなブランディング領域、顧客のロイヤリティを上げる戦略などに分かれますが、どの領域も幅広い商材に適用できます。
また、そもそもマーケティングのプロフェッショナル人材は市場に少ないので、異業種でも経験次第で受け入れてくれるところは多いです。
特に昨今で必要とされるデジタルマーケティング関連のスキルを持つ人材やDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連したマーケティングスキルを持つ人材はどの業界でもニーズが高く重宝されます。
バックオフィス
経理財務
経理財務もビジネス規模の大小などによって業務量が変わってくることはありますが、基本的には会計ルールに沿って行われる職務なので比較的業種間の移動は珍しくありません。
領収書の処理や仕訳、交通費などの経費精算、給与計算、法人税消費税の納税関連業務などはどの業種も共通してある内容になります。
人事
人事領域は昨今の人手不足の日本においては非常にニーズが高まっている職務です。
組織作りや採用強化には不可欠な職務で、その職務領域も増えてきています。HRテック、戦略的人事、採用ブランディングなど、人事のマーケティング領域とも言える分野の経験がある人は異業種からのニーズも高く転職自体はしやすいと言えます。
総務や事務関連
総務も特別業種が変わるからといってどちらかというと会社によって仕事領域ややり方が違うというところが多いので、基本的にはフロント、ミドルや全社員の支援業務がメインですので、業種間移動も問題ないでしょう。
IT系職種
ITエンジニア
ITエンジニアは、IT化やデジタル化が進んでいる中どの業種からもニーズが高く、常に人材不足の状況です。需給ギャップが非常に大きく、異業種への転職でもむしろ歓迎される職種と言えるでしょう。
しかしながら注意点としては、IT化が遅れている伝統的な日本企業に行く場合は、ITエンジニアの働き方に理解がない企業もありますので、入社してから後悔がないよう、カルチャーをよく理解したうえで転職を検討する必要があります。
社内IT
社内ITに関しても異業種だから仕事が変わるというよりも、会社が使用しているシステムやハードウェアなどで業務領域が変わってくるので、異業種出身ということはそこまで関係ありません。
まとめ ー 異業種転職で後悔を残さないために
「隣の芝生は青く見える」ように、異業種は魅力的に見えるものかもしれません。
私もチャレンジしたいと思う職種はチャンスがあればチャレンジしてきました。個人的には後で後悔するよりも失敗してもやった方が良いと思っているからです。
しかしながら異業種への転職がキャリアゴールに沿ったもので、失敗のリスクの理解やリスクを最低限にする方法は先に理解したうえで判断するべきです。
また、業種業界にある特有の文化もあります。結局のところ自分がパフォーマンスを発揮できるのはカルチャーフィット次第という部分もあるので、業界研究や企業研究を怠らずとっても良いリスクだと判断できるまで評価してから転職を行うようにしましょう。