「選んだ会社の仕事が合わずミスマッチで長くいれそうにない。こんなことならもっと慎重に企業を選べばよかった。」転職後このように考える方は残念ながら一定数いることは事実です。この記事ではミスマッチに関する以下のようなことが解決できるように記事を書きました。
- 転職後ミスマッチだった際の対処法
- 転職前に事前にミスマッチを防ぐ転職の方法
- ミスマッチの種類となぜミスマッチが起こるのか
転職前の人、転職後の人もそれぞれご参考いただければ幸いです。
転職時のミスマッチにはどのようなものがあるか
自分の職務経験とのミスマッチ
仕事のこれまでの経験にはそぐわない仕事内容となってしまうケースです。
例えば新しい事業を立ち上げたり、新規部署の設立などといった場合、その仕事に詳しくない人が採用責任者となり要件を細かく理解できていないケースがあります。そのような場合に、最適な人のスキルセットがよく分からず採用してしまったりというケースがあります。
また、仕事の規模感が合わないという場合もそのようなケースがあります。
カルチャー(社風)のミスマッチ
カルチャーのミスマッチは致命的です。社風が合わないと自分自身の活躍度に影響してくるからです。カルチャーが合わない理由には大きく分けて2つの要因があります。
会社の方針に共感できない
そもそも会社のミッション/ビジョン/コアバリューなど会社の基本的な方針が合わないケースです。会社に共感できないため一時的なキャリアの目的を果たすことは可能かもしれませんが長く働くには割り切る必要があります。
人が合わない
人が自分が苦手なタイプの人々が多い職場は毎日が苦しいでしょう。完全に一人で仕事をするような職場でない限り一緒に働く人と合わないのは致命的です。
仕事の仕方が合わない
例えば会社の文化として縦型組織なのか、フラットなのか、タスクはトップダウンで降りてくるのか、それともボトムアップで意見が通る社風なのか。この辺が合わないと仕事を進める中でストレスを感じてしまいます。
事前に自分の働き方と照らし合わせて考えておくべき項目です。
職位のミスマッチ
マネージャーとして採用されたがその企業では機能しない、という場合があります。なぜならマネージャーと一口で言っても様々なチーム状況がありチーム形態によって経験が生かせる、生かせない、などがあるからです。
小さなチームでプレイイングマネージャーとしてやるのか、組織を1から作るのか、大きなチームをマネージするのか。それぞれ役割が違い、得意不得意ということがありますので、事前にどのようなチームの状況なのか、チームメンバーにはどういった人がいるのかを確認しておく必要があります。
また、マネージャー経験のない人がマネージャーとして就任する場合は、比較的チームが出来上がったチームでは適応しやすいですが、1から作るようなチームのマネージは非常に困難となるケースがあったりします。
転職時にミスマッチはなぜ起こるのか?
自己分析をしていない
ミスマッチは自分の転職の目的があいまいだったり、自分自身のキャリアに対する価値観が違うようなことをやっている場合に大きなストレスとなってやってきます。
転職の目的、自分自身の価値観などを明らかにしておきましょう。できればキャリアのゴールを見据えて、今回の転職の目的を明確にしておくと選択すべき企業もクリアになるので良いかと思います。
企業研究不足
事前にネット上にある情報収集をしておくことで企業の情報が一定分かりますのでまずはネット上で可能な限りの情報を集めておくことで企業のプラスな点とマイナスな点を大まかに理解しておきます。
特によく共通して挙げられているネガティブな点というのは実際の企業を象徴している可能性が高いです。また、社風に関しては特徴を捉えるには事前情報として十分に全体像を理解できるので調べておくと良いでしょう。
ホームページでも社風の雰囲気を捉えることができます。SNSでも社名などで検索すると情報が流れていることもあります。
様々なチャネルで情報を捉えて全体像を作っておきましょう。
具体的な職務内容を直接聞いていない
面接の途中で職務内容に関して聞いてみましょう。もともとの職務記述書に載っている内容では網羅されていなかったり、まったく別の内容であるケースがあります。
また、そもそもその職務領域に詳しくない採用担当者の場合、職務経歴書はどこかのものをまねて作っているケースもあるくらいです。
フタを開けたら自分の専門領域とは違ったということはよくあるケースです。
ネガティブ要因での退職
ネガティブなことが理由で退職する場合は、その職場から逃げ出したいあまりに転職活動を始め、自分本来の目指しているキャリアとは全く別の方向性の会社に転職してしまうことがあります。冷静に転職先を判断することができず焦って決めてしまうことが原因です。
今の職場でネガティブなことがあって退職すること自体はダメなことではありません。有休消化をうまく使ったり、場合によっては一度退職して失業手当を受けながら冷静に転職活動を行うできるように進めましょう。
ミスマッチを防ぐ方法(転職前)
面接で不明点は質問する
応募した会社で不明な点は面接中に色々と質問しておきましょう。特に、会社を選ぶ際の優先項目に関しては事前に質問を作っておくと良いでしょう。
特に職務内容や社風に関しては非常に重要な部分なので納得がいくまで聞いておいた方が良いです。これは私が面接官をしている側でも感じたことですが、応募している側は専門的知識がある人間なので、職務領域について突っ込んで聞くことはじつは少ないです。必要以上に深掘りして質問しても良いくらいだと思います。
事前情報を詳しいエージェントに聞く
転職エージェントを利用すると、企業との関係性が強く、内情を良く知っている担当者がいます。そのような人は今回のポジションの募集背景、歴史、チームにどんな人がいるか、などよく知っていることがあります。そして事前に情報をもらっておくと、気になる点が出てくると思うので、その点を面接で深掘りしてみると良いでしょう。
転職エージェントについてはこちらもご参考ください→「転職エージェントとは?利用するメリットデメリットも解説」
オンラインでリサーチ
オンラインではOpen Workなどに代表されるよう、企業情報についての口コミサイトが複数あります。基本的には口コミを書く人は退職した人が多いですから、ネガティブな意見を書く人が比率的には多いですが、その中でも共通した内容があれば気にしておいたほうがよいでしょう。カルチャー面のことであれば人事との面接で確かめる、など適切な人に聞いてみましょう。
ミスマッチの対処法(転職後)
転職の目的と照らし合わせて考える
本来の目的を達成することを最優先する場合、ミスマッチとなっている要因について考え、書き出してみましょう。それらを見て、ミスマッチとなっている要素の方が本来の目的を達成するよりも優先順位が高い場合、退職を検討する、といったように比重を考えるべきです。また、目的を達成するまではなんとかこの会社に在籍するという固い決意がある方は期限を決めておくと良いでしょう。
人事にかけあってみる
現状を話したうえで、何か対応可能か教えてもらいましょう。特に入社してから聞いていた話とは違うといったミスマッチは、できるだけ具体的に証拠となるようなもの(職務記述書やメールのやり取りなど)を見ながら話をした方が良いです。
転職する
できる限り転職は最後の手段にした方がよいでしょう。なぜなら短期間で転職を繰り返すというのはネガティブに受け取られることも多かったり、次が見つかるまで一定期間無収入になるなどリスクがあるからです。
状況について相談したり転職のパートナーが必要な場合は、まずは転職エージェントに相談してみることをお勧めします。
退職して失業手当を受給する
過去2年間に雇用保険加入期間が12カ月間以上ある人は失業手当を受給することができます。失業手当を受給しながら慎重に自己分析や企業選びを行い、転職活動を行うこともできますので退職の意向が固い人は利用しておきましょう。
退職してから転職する場合はこちらの記事もご参考ください→「転職はなんとかなる!?退職してから転職に成功するポイント」
ミスマッチ事例
自分の職務経験とのミスマッチ
「実際に想定していた仕事内容とは全く違う領域の仕事でした。私を採用してくれた上司となる人がその分野には明るくないのでスキルを持った人を採用したいという背景で私が採用されました。しかし、経験のない人が職務記述書を作り想定職務をすべて完璧に説明するというのは不可能なことです。実際には私の経験にとってキャリアアップとはならない内容で、ジュニアなレベルのスキルで良いレベルのものでした。」
(ITプロダクト開発 34歳男性)
新規にマーケティングの部署を立ち上げるということで、知見のある人間として採用されました。蓋を開けてみると、デジタルマーケティングというよりはデジタル広告運用をメインにするポジションで、広く戦略を立ててきた側の人間にとってはキャリアアップというよりむしろ狭い領域の話で経験としては広がらないので今後このままいるべきかどうか考えています。
(ITベンダーマーケティング 38歳男性
カルチャー(社風)のミスマッチ
「職場にいる人が数字をベースに会話をする人が多く、どんな会議でも数字の話ばかりで、すごく窮屈な思いをしました。同じような人が集まっていた会社だったので事前に人の特徴をつかんでおくようにすればよかったです。」
(EC運用兼デザイナー 30代前半 男性)
「新しい部署を作る仕事ということでしたので、どんどん仕事をこなしていけると思っていました。しかしながら会社自体の社風としては縦型組織で、一つ一つお伺いを立てながら進めていかなければいけない組織でしたので、仕事がなかなか進まずもともとオープンでフラットな組織に属していた私にとってはストレスでした。長い目で見てやりたいことは達成できるので最近ではそこは目をつぶるようにしています。」
(オンラインサービス 企画 20代後半 女性)
職位やポジションのミスマッチ
部長職で前任の部長に代わり入社しました。期待されて入社したので早く結果を出さなければと思い奮闘していましたが、もともといるマネージャー達の意見が強く、新しいことをしようとするたびに衝突がありました。このままでは期待された分野に着手するまでに非常に労力やストレスも多く、また古くからある企業なので変化を求めようとすると他部署との社内調整や根回しが必要で、専門分野をやるには想像以上に労力を取られます。新しいことを推進するという部分にだけ惹かれ、そのような社風を軽視していました。
(大手小売り業IT職 40代前半 男性)
新設されたチームのマネージャーとして採用されましたが、私が経験してきた組織ができあがった管理職とはまったく違い、自分自身が手を動かしながら仕事をやっているイメージです。経験としては新たな経験なのでプラスになっていますが、その分残業も多く、犠牲になっている部分もありますので、事前にもっと想定しておけばよかったと思っています。
(メガベンチャー新規プロダクト営業部 30代後半 女性)
まとめ
転職におけるミスマッチは多かれ少なかれ発生します。
事前の準備や進め方で最小限にとどめることができますので、できる限り不明な点は質問項目として書き出しておきましょう。そして、明確にできないところは、直接企業に聞いたり、転職エージェントに聞いたりすることでクリアにして最終的な転職の判断をしましょう。
また、転職してしまった後のミスマッチに関してはそこにとどまることで本来の転職の目的が果たせないような場合は、転職も検討せざるを得ないでしょう。
しかしながら短期で転職を繰り返してしまうことはリスクになるため、退職の判断をする前に、できる限り今いる会社内で対処法がないか、人事にも相談したうえでできることはするようにしましょう。