30代40代で10回以上転職している人はじつは欧米では珍しくありません。日本でも徐々に転職は一般的になり、転職の回数を重ねている人は増えてきているものの転職回数で足切りされる企業はまだまだ多くあります。
しかしながら10回転職できる人というのは、何かしらの分野で評価に値する能力があるから転職できてきたはずです。ここでは10回転職しても転職できる方法やキャリアの構築方法について考えてみました。成功事例も紹介させていただきます。
転職10回以上の客観的な印象は?
転職10回しているという人は世代によっても変わりますので、ここでは、30代40代を例に深掘りして考えてみます。
30代転職10回の場合
例として35歳で転職10回の人を挙げてみましょう。大学卒業後新社会人として23歳で働きだしたと仮定すると約12年間で11社経験となります。つまり、1社あたり平均すると1年ちょっとの在籍経験となります。途中で家族的な事情があったり、一時的に体調を崩していたとしても、ちょっと回数としては多いですよね。
これだけの転職回数が印象としてプラスになるということは考えにくいと思います。
40代転職10回の場合
45歳の人が22年間で、11社経験の人を例にしてみましょう。この場合は1社あたり在籍年数は平均2年となります。実際にこれくらいの人は日本でも特に外資系で働いている人の中には結構います。
業界によって平均在籍年数は違う
外資系金融業界やBtoCの営業系職種などの分野ではヘッドハントが盛んで、これくらいの転職回数の人はじつは普通にいたりします。
また、日系でも、デジタル系の広告代理店やプロモーション業界はスピードも速いので、関連企業に勤める人は2年くらいで会社を変えることも割と一般的な印象です。
転職回数の多い少ないは業界的な風潮にもよるということを理解しておくと良いでしょう。
転職10回の人に企業が持つ不安
企業側から見て転職10回の人に対して持つであろう不安について書いてみました。私も面接官として多くの候補者を見ている中でもこのようなことに気を付けて面接を行っています。
- またすぐに離職してしまう可能性があるのではないか
- メンタルなどに疾患を抱えているのではないか
- 一つのことに取り組む忍耐力がないのではないか
- 人間関係構築が苦手なのではないか
- チームワークができないのではないか
- 専門分野の経験が浅いのではないか
転職10回の人が次の転職に成功する方法
上述したような採用側の不安があることに対して、その不安を払拭しなければいけません。そのための転職活動のポイントをこちらでまとめてみました。
職務経歴書の書き方を工夫する
同じ業界で数社経験のある場合はまとめて書く
例えばホテル業界の経験で3社経験がある場合は、1つの大見出しでそれぞれでの実績を書いてみる。また、3社の経験を線でつなぎ実績になっていることを表現しましょう。
以下に一例を挙げてみました。
〇販売業
A社:〇〇に従事。さらに〇分野でも結果を出したいと思うようになる。
B社:A社では経験できなかった〇分野で実績を出した
C社:A,B社の経験が相乗効果を生み、〇という成果を出した
実績をできるだけ数字で書く
売り上げ〇%アップ、新規案件〇件獲得、コスト効率〇%改善、など営業やマーケティングだけでなく、バックオフィスでも貢献インパクトを数字で表現することでだれもが客観的にその成果を認識することができます。
転職回数を見直してみる
何らかの事情があり途中派遣で働いていたような時期がある人は、その経歴は含まなくてよいあるいは職務経歴書に派遣元の企業1社として履歴を載せるだけで良いです。
これだけで在籍者数が減るという人もいるのではないでしょうか。
退職理由を1社ずつ書く
転職回数の多い人は何かと退職理由をネガティブな理由と見られがちです。誤解のないように、一社一社の退職理由を職務経歴書に書いておきましょう。
例えば、家族の関係でやむを得ず引っ越しで転職した場合などもその理由をきちんと書いておきましょう。親の介護・家族や子供の事情など、それらを書くことがマイナスになることはありません。
カバーレターを書く
カバーレターは職務経歴書の表紙となる部分です。自分自身の言葉で経歴を要約して、何の専門家であるかを伝え、志望動機も伝えましょう。忙しい人事の目に留まるのは、分かりやすい要約です。周りとの差別化のためにも書いておくことをお勧めします。
豊富な経験を活かせる会社を選ぶ
様々な業界職種の経験が生かせる業界はないでしょうか?例えば広告代理店やITベンダーなど請け負う仕事がメインの企業では、職種にもよりますが様々な分野の経験をプラスととってくれるところもあります。
転職回数が多くても問題にならない業界を選ぶ
例えば小売業などの販売業は比較的転職が多い業界です。あるいはデジタル系の広告などを扱う会社は2年くらいで転職することが比較的一般的です。
そのような転職が一般的な会社では、たとえ職種が経理であっても、業界的に転職が一般的なので、そこまで違和感がないこともあります。
長く働く意思を見せる
面接、職務経歴書上のカバーレターなどで、次の企業で長く働く決意があることを伝えましょう。また、そのモチベーションが過去の経歴と一貫性があることで信頼性を上げることができます。非常に重要な部分ですので、時間をかけて言語化しておくべき部分です。
転職エージェントを使う
転職エージェントは転職活動の情報を豊富に持っています。あなたの特徴にあったマッチングする企業を紹介することが仕事です。転職の回数を気にしないクライアントを紹介してくれたり、職務経歴書の書き方などアドバイスをくれるでしょう。
回数を気にしないクライアントを紹介してもらう
クライアントの社風や業界によっては、転職回数をそこまで気にしない企業があるのは事実です。それよりも専門性や実績を見ることに重きを置くクライアントが一定数いるので、そのようなクライアントを紹介してくれるでしょう。
職務経歴書や志望動機アドバイスをもらう
上述した職務経歴書の書き方以外にも有効なアドバイスをくれるでしょう。
実際の面接を想定した質問を教えてもらう
転職回数の多い人に向けた面接のシミュレーションを行ってくれるでしょう。よく聞かれる質問など知っているので実際に一度経験しておくことで準備しておくことができます。
なかなかエージェントが案件を紹介してくれない場合は、複数エージェントを使うことは必須です。複数エージェントを使うことによるメリットデメリットはこちらにも書いてありますので、ご参考ください→「転職活動で複数の転職エージェントを使う際のメリット・デメリット、注意点など」
どんな企業が転職10回以上の人を採用するのか
企業の中には、転職回数よりも経験や実力重視で人の採用を行っている企業があります。
- 実力主義の外資系企業
- 専門分野や競合の知識が欲しい企業
- 経験豊富な人を迎えたいベンチャーやスタートアップ企業
- とにかく即戦力が欲しい企業
転職10回前後ある人の転職成功事例
採用責任者として採用を行ってきた中で転職10回以上の人にもそれなりの数あってきまました。ここでは、外資系や日系問わず転職が10回以上ある人の成功事例を参考に紹介したいと思います。
熱意を見せたことにより転職に成功した例
30代までなかなか自分がやりたいことが見つからず様々な業界職種を経験し、30代後半で転職10回経験していました。IT系の業務のIT化やビジネストランスフォーメーションの営業をやっていくうちにITのツールの営業なら良さが分かるので営業もコンサルティングもできると思い、ITベンダーの営業職に応募しました。転職経験は多かったのですが、一貫性はあったのと、熱意を見せたところ内定をもらうことができました。また、前職の人とも仲良くしていたのでレファレンスチェックも良い内容を書いてもらったこともプラスポイントだったと思います。(ITベンダーコンサルティング 38歳 男性)
豊富な経験を買ってくれる代理店にいった
マーケティングの専門家として、マーケティング自体が好きで様々な事業者会社のマーケティング職を転々としてきましたが気づけば40を迎えるころに9社経験となっていました。どちらかというと仕事の内容を追いかけていた人だったので新しい仕事を覚えたいという目的自体は比較的はっきりしていましたので、その豊富な経験を買われて9社目で外資系の広告代理店への転職を実現しました。(広告代理店営業・40代 女性)
ニーズのある分野へ方向転向
プログラミングが好きだったのですが、趣味にとどめていました。キャリアとしては営業や販売などを9社ほど転々としてきましたがどこか自分の好きなプログラミングを仕事にしたいと思っていました。
10社目に転職というタイミングで、プロフェッショナルな経験としてはなくても受け入れてくれるベンチャー企業とご縁があり、そちらにこれまで私が趣味で積み上げてきたプログラミングの作品などを見せて熱意を見せたことを評価してくれ入社しました。
(クラウド系ITエンジニア 46歳 男性)
転職回数が多くても転職できる人材になるために
中長期的にキャリアを俯瞰したときに、転職回数が多くても転職できる人というのは以下のような点に気を付けています。
転職経験がまだ浅い方も、すでに回数を重ねている人も、このような事を意識してキャリア構築することを意識していくと良いでしょう。
- 転職の目的を明確にする
- 自分の価値観や目的を理解する
- 前向きな理由での転職を心掛ける
- キャリアアップは次の目標を見つけたときに行う
- 採用関係者との関係構築を日々行う
まとめ
結論から言うと、転職10回の人はすでに何らかの専門性や強みを持っているはずです。だから転職10回可能だったのです。
更に転職する場合も、高い専門性をアピールすることは必須となります。次の会社を受ける際には、その会社への熱意と長く在籍したいという気持ちを伝えなければいけません。
書類選考の際には厳しい現実を目の当たりにすることもあると思いますが、転職活動における各ステップを少しずつ改善していき最終的に次の転職先にたどり着くことは十分に可能となるのです。