グローバルな環境で仕事がしたい、と思っている人は一度は外資系企業への転職を考えたことがあるでしょう。
しかしながら日系企業から外資系企業に転職した人が転職後どうなったか、あるいはそもそも外資系企業自体がどういった環境なのか、そういった情報自体あまり出回っていません。
ここでは、筆者自身が外資系企業で働いたり採用活動を行う中で出会った後悔する人の特徴と事例をまとめました。外資系企業に転職して働きたい方はぜひご一読ください。
外資系転職で後悔したことがある人はどのくらいいる?
こちらの20代~50代の外資系企業転職経験者400名にアンケートを実施した結果となっていますが、「後悔している」という人が47.3%の約半数となる結果が出ています。
外資系転職での転職活動で後悔した理由は?
上記アンケート結果のうち転職活動において後悔した理由TOP5としては以下のような点が挙げられます。
- 転職ペースが速すぎた 33.9%
- 自分のニーズにあってなかった 33.3%
- 複数エージェントを利用した結果調整や対応が大変だった 29.1%
- 自分の年齢にあった求人が少なかった 25.9%
- 転職までのペースが遅すぎた 24.3%
外資系転職でミスマッチで後悔する理由
次に外資系への転職後、会社とのミスマッチで後悔する理由についてみていきたいと思います。
外資系転職後悔:外資系企業の文化に馴染めない
アットホームな日系企業とは違った
一概に外資系企業の文化はこうだ、とは言い切れませんが、日系企業の和気あいあいとしたカルチャーで、会社の人々と頻繁に飲みに行ったりするような文化は外資系企業にはありません。
もちろん、クリスマスパーティなど季節行事があるところは多いですが、日系企業のアットホームな感じとは違います。基本的に家族を大事にするカルチャーで、定時に仕事を上がって家に帰る人が多いです。
ドライだと感じる方もいるかもしれませんが、その文化に馴染めないと厳しいかもしれません。
もし日系企業から外資系企業への転職を検討している方で、特に人間関係に満足しているという方は外資系企業への転職は避けた方が無難かもしれません。
実力主義が肌に合わない
外資系企業は専門家の集まりです。
チームで一丸となって何か目標を達成するというよりも、一人一人にKPIが課せられていてそれぞれがやるべき仕事を行う、スペシャリストの集まりです。明確な目標KPIが定められ、その目標に対してどうだったか、という結果によりあなたの評価が決まります。
数字を追いかけることが苦手な人や、ライバルとの競争もあるような状況が苦手な人にとってはカルチャーが合わないこともあります。
仕事のスピード感についていけない
仕事を丁寧に完璧にするタイプの人は、スピードで仕事をこなす外資系企業の文化は大きなストレスを感じてしまうかもしれません。私自身そういったタイプではないですが、はじめて外資系企業に行った時、仕事のスピード感には驚きました。
もちろん、のんびりとした社風の外資系もありますが、意思決定の速さ、生産性、効率を求められるのが外資系企業の合理主義な文化です。
逆によく残業しているような人は、生産性の低い人と見なされ、評価が低くなることもあります。
人より仕事が早い人は評価され、給与も上がる、というのはパフォーマンスベースの外資系のでは珍しいことではありません。
海外本社の言う通りに動く必要がある
外資系企業の日本支社はあくまで1支社にすぎません。よって、基本的には本国にある本社に従わなければいけません。
時には本国の方針が変わり、進行中だったプロジェクトが中止になったり、予算が減らされたりということはしばしばあります。
こういった方針の変更にも柔軟に対応していかなければいけません。
日本市場から撤退するリスクもある
日本に上陸しビジネス展開したばかりの外資系企業は、ビジネスの状況により日本から撤退するリスクがあります。
ビジネスが本国で成功していても、日本市場で成功するとは限りません。そのリスクを取ってでも働きたいのかどうか、リスクを考えず入社して結果日本市場から撤退ということになり後悔することの無いよう、事前の念入りなリサーチが必要です。
外資系転職後悔:異文化間コミュニケーションが取れない
外資系企業に初めて勤務した人で、英語力が想像以上に必要だった感じる人も多くいます。
特に職位が上がれば上がるにつれ求められる英語力は高くなり、本国とのコミュニケーションも多くなりますので、ビジネスレベルの英語力は必要でしょう。
また、長く日本にある外資系企業では、担当レベルでは必要ないこともありますが、基本的にはビジネスレベル以上の英語力でコミュニケーションを取れるようなレベルまでは、英語学習を続けることをおすすめします。
外資系転職後悔:専門性が見合ってない
外資系企業では基本的には専門家として採用されます。
その分野ではこの人に聞けば良い、というくらいの専門性が求められるので深い専門性が必要とされます。
そのため、専門性が足りないという場合は、他の人にリプレースされてしまいます。
外資系転職後悔:仕事が一部分しか見れないことに不満を感じる
専門家の即戦力採用である外資系では、たくさんの業務範囲を多くの人で見ると言った仕事の進め方はしません。
また、大手日系企業の総合職にあるような、ジョブローテーションのような制度もありません。
あくまで専門家である人がそれぞれの責任範囲だけ対応する。というスペシャリストの集まりで、プロジェクトが進行するようなイメージです。よって、職務記述書も明確です。
広い領域に関わりたいという人は、外資系企業には向いていませんし、飽きてしまうという人も多いです。
外資系企業転職して後悔する人の5つの特徴
ここでは、私自身が外資系企業での採用に関わって、入社後に活躍している人、後悔している人それぞれの特徴を見たうえで、ここでは転職後悔している人の共通点を挙げてみました。
1.情報収集不足
外資系企業についての情報収集不足が原因となっているケースが多く見られます。
- 外資系をひとくくりで考えてしまっている
- 給与目当てで転職している
- ワークライフバランス目当てで転職している
特に、この辺に該当する人はもっと外資系企業についてよくよく調べてみる必要があります。外資系企業に共通する文化はあるものの、個別に文化はかなり異なります。日本進出している年数によっても変わりますし業界や規模によっても違います。
文化に馴染めず後悔しているという人の多くは、外資系企業をひとくくりで考えてしまっていたり、情報収集が不足しています。
イメージ先行で考えず、きちんと企業の情報を転職エージェントなどの第三者や採用関係者などにヒアリングをしましょう。
じつは外資系企業というのは、日本での成績が良く、長く日本にあるところは日本企業のカルチャーに似てくるところもあります。
いわゆる実力主義で成果を出せないとクビにされるような企業もありますが、、きちんと個別に文化を確認し理解しておきましょう。
2.スキル不足
専門性が低い
日系企業から転職する場合、自分の専門性が確立されてないまま外資系企業に行く人もいます。そのため、なかなか個人で成果を出すことができないケースもあります。
自分自身の専門性を確立するためにはリスキリングなどでスキルを磨くことを怠ってはいけません。専門家であるとういことは常にどこに行っても結果を出すということでもあります。
対人スキルが低い
外資系企業は、国際色豊で非常に人当りが良く、コミュニケション能力が高い人が多くいます。
また社内でもネットワーキングや、様々な人と交流するイベントもありますが、日本人にとっては、不慣れで面食らってしまう人もいるでしょう。
引っ込み思案だと対人能力が低い変な人だとみなされてしまうこともあります。いろんな人とオープンに話し、ソーシャルスキルを上げていく必要があります。
語学力不足
語学力は入社してからでもなんとかなると気軽に思っていると、入社後にもっと勉強しておけばよかったと後悔する人がたくさんいます。
基本的に外資系企業は即戦略採用ですので、入社してからすぐに機能することを求められると思っておいた方がよいでしょう。
また、語学力のレベルには、読み書き程度、日常会話レベル、ビジネスレベル、流暢、といったレベルに分かれます。事前に求められる英語レベルを認識しておきましょう。
また、一般的に職位が上がれば上がるほど本国や役職者とのコミュニケーションが増えるので、語学力のレベルは高い人が昇進する傾向にあります。
3.柔軟性が低い
グローバルな外資系企業には多国籍の人が集まっています。そのような人と一緒に仕事を進めるには、自分がこれまで守ってきたルールに固執せず、柔軟な動きをすることが求められます。
また、本国から事業戦略の方針転換がコロコロ変わることもあります。そのような状況にも柔軟に対応できない人は苦しいと感じるでしょう。
4.英語力が不足している
外資系の規模にもよりますが、特に日本進出して間もない小規模な外資系企業は、本国との連携も多く、英語力は必須です。
業務推進ができる程度の英語力は間違いなく必要となります。
逆にできないと非常に苦しい思いをするので常に語学力はブラッシュアップしておきたいものです。
5.成果主義の文化に馴染めない
外資系企業では専門性があることが前提の採用で、その専門分野において成果を求められます。
各個人には明確なJobDescription(職務記述書)やKPIが存在し、成果に見合わないと思われると待遇が悪くなる可能性もあります。そのような一定の成果に対してのプレッシャーをストレスに感じる人には長くいることは難しいでしょう。
マイペースに自分の仕事がしたいという人には向いていません。
6.給与目当てで転職している
外資系の高いと巷で噂される給与目当てで転職した人は、本来のモチベーションではないこともあるので長続きしません。そういった報酬的なモチベーションは一時的なものです。
また、外資系企業で給与待遇を上げ続けるには成果を出し続けなければいけません。
よって、給与で選ぶのではなく、成果を出し続けることができる環境を選ぶべきでしょう。そうすれば結果は自ずとついてきます。
外資系転職で後悔しない人の特徴
成果に基づいた評価をされたい
これは私も若いときに感じたことで外資系企業に行きたかった理由の一つでもあります。それは、「正当な成果に基づいて評価されたい」ということです。
日系企業で働いていたころには、自分自身の裁量権もあまりなく、自分自身の職務領域は広くKPIもぼんやりと決まっているくらいでした。結局評価は自分というよりは社内の状況だったり、外部環境に左右されていることが多かったりしました。そして、長く務めている人が高く評価されている社風に違和感を感じ、自分の結果をきちんと評価してくれるような企業を探していました。
このように、明確なKPIに基づき正当な評価を受けたい人は、成果主義の外資系企業であっても後悔することはないでしょう。
英語に興味がある/グローバルに働きたい
英語を話して異文化間で仕事をすることに興味がある人は、外資系企業に行くことがその近道です。
当然ながら文化の違いにより困難な場面もありますが、円滑にコミュニケーションを取り仕事を推進していくことはこのうえない充実感があります。
異文化間コミュニケーションを楽しめる人はプロセス自体が楽しいという状態になります。
合理的に働きたい
外資系企業では、「利益を上げる」というシンプルな目標が徹底されています。
組織の構造や仕事の仕組みなど、利益を上げるための合理的な仕組みが追及されていき、利益が上がらない方法はどんどん排除されていきます。
義理人情などが仕事において入ってくるようなことは、ほとんどありませんので、そういった合理的な考え方を学びたいという人には非常に向いていると言えます。
外資系への転職で後悔しないように準備をする方法
外資系企業の実情について情報収集する
エージェントに登録しておく
外資系企業の転職には、外資系企に業特化した外資系転職エージェントが存在します。
日系の転職エージェントに外資系企業を紹介してくださいといって出てくる案件は、ごく少数の限られたものです。
外資系企業に特化したエージェントは、本国でそもの転職エージェントを使っているというケースがあり、日本でも同じエージェントを使うように指示がある場合もあります。
そのような理由からも外資系転職エージェントにしか取り扱っていない案件を保有していることが多々あります。
私も、かつて外資系転職エージェントが存在することを知らずに、日系エージェント経由で英語を少し使うような日本企業の案件に応募していた時がありましたが、今思えばグローバルに働きたい人にとっては時間の無駄です。すぐに外資系企業特化エージェントを利用することをおすすめします。
また、ビズリーチのようなスカウトサイトで英語で自身の経歴を載せておくと外資系エージェントからも声がかかります。
→ビズリーチに関して詳細はこちらもご参考ください
→転職エージェントについてはこちらをご参考ください
「【2024年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)」
Likedinを利用する
Linkedinは世界中のビジネスパーソンが集まるSNSです。
基本言語は英語ですが、国を超えて様々な人と交わることができます。ビルゲイツやマークザッカーバーグなどのようなビジネスインフルエンサーも定期的に投稿しています。
このSNSでは、採用企業のリクルーターやヘッドハンターがスカウト活動も行えるというところがユニークな部分です。国を超えてスカウトが来たり、採用関係者とつながりコミュニケーションを取ることができますので、自分の価値や今の自分に必要なスキルなどを日々のコミュニケーションの中から知ることができるでしょう。
転職活動とは、そういった日々の雑談の中からきっかけが生まれたり、ひょんなことから良い機会が目の前に訪れたりしますので、常にそういった機会にオープンでいて、いざ良い訪れたときに見逃さないようにしておきましょう。
→Linkedinに関してより詳細はこちらの記事もご参考ください
語学力を磨いておく
語学力は一朝一夕で身に付くものではありません。
日ごろからの積み重ねが大切です。今の時代英会話はオンラインスクールもありますので、毎日少しずつでもレッスンなど行い積み上げておくことが大切です。
最初は読み書きができる、片言レベルだったのが徐々に話せるようになってくることが実感できれば学習そのものが面白くなります。
進捗を定期的に確認し、ゲームのように楽しませながら学習すれば努力ではなくなります。
実際に外資系転職で後悔した事例
英語力についていけなかった例
オーストラリアにワーキングホリデーに行っていた経験を生かそうと思い、外資系の社内ITサポートに入社しました。しかし思いのほか英語が大きな壁となりました。
とにかくビジネス英語が分からないので業務を進めることができないのです。
強みだと思っていたことが、周りが当たり前のように英語を話す環境の中では、むしろ中途半端な語学力が露呈し、最初の半年間は恥をかくばかりでした。外資系企業は周りの人も自分の仕事をこなすのに必死な人ばかりなので、業務が大変で教えてほしいと言っても丁寧に教えてくれるような同僚はいませんでしたので、とにかく何が正しいか分からなくとも、失敗しながらも進めるしかなかったです。そういった即戦力という側面をも甘く見ていた結果だったと反省しています。
「ITサポート 30代前半 男性」
スピード感についていけなかった例
もともとカスタマーサポートから、キャリアアップを考え、外資系IT企業のインサイドセールスへと転職しました。
まずびっくりしたのは、とにかく業務の一つ一つがKPI尽くしにびっちり決められていたことです。オペレーションの業務フローの一つ一つがすべてKPIとして数値管理されていました。
とにかく日中は目まぐるしく仕事を行い定時が来る頃にはへとへとになるという日々でした。キャリアアップと言えど、このまま続けると健康や家族を犠牲にしてしまうことを考え、カスタマーサポートへ戻ることを決意しました。
「カスタマーサポート 40代女性」
ワークライフバランスの意味をはき違えていた例
新卒から日系保険会社の営業職として働いていました。営業成績も順調で十分な給料をもらっていましたが、30代に差し掛かる際に将来を考え、もう少しワークライフバランスが保てる環境に行きたいと考えるようになりました。
それなりに給与ももらっていたので、外資系企業であれば給与額も担保しつつワークライフバランスを保てるかと思っていたのが甘かったところです。実際には、ワークライフバランスが良いと言っても、短時間の中でとてつもない集中力をもって業務をこなしている人ばかりでした。そういう意味では日本企業にはいないタイプの人ばかりで、とにかく定時前には仕事を終わらせるために皆必死で頑張っている、結果的に中長期で成果も達成できている人も多かったです。
私は元来マイペースなタイプで時間をかけて成果を上げるタイプだったので、残業も多くしていました。周りからも仕事の遅い人間という風に見られていたと思います。
「人材系会社営業 30代女性」
まとめ
外資系企業へ転職して後悔してしまうのは、転職活動のプロセスに問題があるからです。
これは外資系への転職に限ったことではありません。大事なことは自分自身に合った会社を選ぶことで外資系はそれらの中の選択肢です。
なぜ外資系を選ぶのか?
いま自分にとっての選択肢として適切であるかを考え選択しましょう。
そして、多くの外資系企業で必須スキルとなる英語力の基礎を身に付けることをおすすめします。
外資系企業を選ぶことが自分の目的と合っていて、準備が整っていれば外資系企業で活躍することは十分に可能です。
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