転職したいけど、失敗したら怖いから動けない・・という人は結構いるのではないでしょうか。
「どうやったら失敗を回避できるんだろう?」「転職に失敗したらその後どう挽回したら良いのか?」など、何が転職に失敗する原因かを明らかにし、どうすれば失敗を未然に回避することができるのかについて説明しています。
また、転職して失敗したかもしれない、と思っている方も転職後のリカバリー方法について知ることができます。
転職に失敗する理由は何パターンかありますが、多くの場合、自己分析含めた「準備不足」が原因となっていて、準備をすることで未然に回避することができます。
各失敗パターンごとに、私が見てきた転職した人々の失敗談についても紹介していますので、失敗を未然に防ぐようにしていきましょう。
実際にあった転職の失敗談とその回避方法
転職の目的があいまいな事による失敗
転職の目的があいまいだと、転職理由も明確にならず就業後の業務に対するモチベーションにも影響してきます。
自己分析をしてキャリアの目的と今転職しなければいけないという理由を明確にしてから、転職を検討しましょう。
転職失敗談
AさんはIT系メガベンチャーの営業企画部に勤める30代後半の男性です。企画することが好きなのでその道のエキスパートを目指してやっていきたいと考えてきました。
SNSで声をかけられた転職エージェントと意気投合し、同じようなIT系でスタートアップ企業が、Aさんのようなメガベンチャーの経験を生かして営業企画マネージャーをやってくれる人を探していると言われ、応募してみました。
スタートアップ企業で働くというのは、経験もありませんでしたが、職位も上がるということにつられて内定をもらい承諾してしまいます。
結果的に、成熟したメガベンチャーとスタートアップのカルチャーギャップに悩まされ、マネージャー職の忙しさも想像以上で仕事に忙殺されることになりました。
失敗回避のポイント
キャリアをエキスパート職で行きたいと自己分析ができていたのにマネージャーにつられて行ってしまったことは、大きな失敗原因かと思います。
キャリアにおける目的が大きくブレてしまっています。
マネージャーになりたい人はマネージャーについてどのような職務となるか想定し、その上で着任する人が多い中、Aさんは、突発的な誘惑にかられどのような職務かしっかり想像できないまま転職してしまいました。
また、メガベンチャーと言えどそれなりに組織としては成熟しています。スタートアップ企業での日々業務の目まぐるしさとは大きく状況が違います。
マネージャーであれば企画以外に周辺業務も発生するでしょう。その辺の見極めが甘かったと言えます。
優先順位を間違ってしまう
転職活動をしている中で優先順位が変わってきてしまうことはよくあることで、失敗例の中でも大きな要因となっています。
自己分析をする中で今とるべき優先順位が明確になったらそこからブレないように、その優先順位に沿った企業選びをしなければいけません。
転職失敗談
Kさんは子供が生まれたばかりの30代前半男性。日系メーカーの品質管理やカスタマーサポートに従事していました。クレーム案件などで深夜まで残業続きでワークライフバランスの取れる会社への転職を考えていました。
ある時転職サイトを見ていて、ワークライフバランスの良さを謳った同業界の外資系企業があったので応募しました。前職の内容を評価してもらい給与も前職より好条件で内定をもらい承諾します。
就業してから、カスタマーサポートとしての営業成績というのが達成指標として非常に厳しいことを知ります。
実際成績の良い人はワークライフバランスは良いですが、裁量労働制のため、成績の悪い人は朝から晩まで必死に数字を追いかける業務となってしまいます。プレッシャーも厳しく、ストレスで心身ともに疲弊する日々を送ることになります。
失敗回避のポイント
Kさんがワークライフバランスを改善したいという優先順位を持っていたことは間違いではないのですが、小さいお子さんがいる中では「ストレスをできるだけ少なくする」ということをもう一つの優先項目とするべきでした。
職場での自分と家庭での自分は「同じ一人の人間」ですから、職場で感じたストレスは家庭にも多少なりとも持ち込んでしまうことはあります。その結果家庭に影響がでてしてしまうということになりかねません。特にKさんのように小さいお子さんの生まれたばかりの場合は、まずそもそも転職を選択肢に入れないという選択肢もあったでしょう。
また、今回は日系企業から外資系起業への転職でしたが、成果主義も多い外資系企業の情報収集不足にも原因がありました。カスタマーサポートであっても厳しいKPIがある外資系企業は少なくありません。この辺の情報収集を口コミや転職エージェントを使ってしておくべきでした。
転職タイミングの失敗
転職タイミングの判断ミスを防ぐには、あなたのキャリアプランの中でそもそも「今」転職する必要性があるのか?ということを慎重に考えなければいけません。
よって、突発的に来たスカウトなどはいくら条件が良くても、中長期で見たときにベストな選択なのかを吟味する必要があります。また、今の会社のネガティブ要素から逃げ出すことが転職の目的となっていると、退職後に焦りが出てしまうことから慎重な判断ができなくなってしまいます。
転職失敗談
Nさんは、大手ITベンダーで勤める30代前半男性で法人営業に従事しています。それなりに営業成績も良く次期マネージャーとして期待され順調な日々を送っていましたが、成果の割には給与に反映されない部分に不満を持っていました。
ある時、同じIT系企業から営業職のスカウトを受けました。転職を考えていたわけではなかったNさんですが、初めてスカウトされたという嬉しさと、魅力的なインセンティブ条件に惹かれて面接を受けて内定をもらいました。
実際に入社してみると、製品自体の認知が低く、前職に比べると非常に高い営業力を要する製品でした。インセンティブは魅力的なものの反面、未達成の場合には非常に評価が低くされてしまうという状況に陥ってしまいました。
失敗回避のポイント
新しい会社の話があるとポジティブな側面ばかり見てしまいがちなのですが、ネガティブになりうる面もしっかり考える必要があります。
魅力的なインセンティブは良い例で、「逆に達成しなかった場合にどうなるのか」をきちんと確認しておくことが重要です。
この辺は口コミなどでも書かれているケースが多いので、対象企業のチェックを行うべきでした。口コミで気になる点があった場合にはその点を面接の際に聞いてみましょう。
また、中野さんのように次期マネージャーとして期待されている方なら、マネージャー経験を経てからの転職であれば、職務領域として大きなプラスになるので次の選択肢も増えます。
転職先のリサーチ不足
リサーチ不足は単に転職先の情報量が少ないため失敗してしまうケースです。リサーチ不足による失敗要因は以下のようなものがあります。
- 仕事内容が合わない
- 社風が合わない
- 待遇が思った通りではない(休日、給与、その他労働条件など)
- インセンティブ制度
転職失敗談
Sさんは40代前半男性で、転職で大手小売業のデジタル化推進担当者として着任しました。完全週休二日制という契約条件が記載されていましたが、実際には土日が小売店舗が稼働しているため何かと店舗側との連携が必要になり土日出勤が余儀なくされます。
また、店舗側との連携も多いので土日出勤していないと印象がよくないので、生真面目なSさんは最低でも土日のどちらかは出勤するようになります。
上長に相談したところ、時間が空いたところで休みをとって良いと言われましたが、結局Sさんの代わりがいないため平日休むことはままなりません。
結果的にSさんは約2年間週末出勤をしつつ勤めて、次の会社では同じ過ちを繰り返さないよう入念なリサーチをして転職しました。
失敗回避のポイント
Sさんは週休二日制というのが完全土日休みなのかを確認した方がよかったです。小売業の場合は特に、店舗ありきのビジネスなのでミドルオフィスやバックオフィスでも土日が休めないという企業もあります。
この辺は雇用契約書に書いていない部分なので面接の際に確認しておくと良いです。
転職の失敗を回避する3ステップ
まず転職には失敗しない理想的な順番があります。
特にその中で重要なのが、準備段階での自分自身についての理解や転職活動の目的を明確にすることです。
失敗のほとんどは、自分の最終的なキャリアゴールが明確でなかったり、転職の目的があいまいで本当に転職するべきかどうかのタイミングが見極められていないことにあるからです。
転職の失敗を回避するためには、情報収集を行い、常に自分自身の市場価値がどの程度あるのかを把握しておくことも非常に重要です。
転職の失敗を回避するステップ:1自己分析(最重要)
- 目的確認
- 優先順位確認
- 市場の情報収集
※このタイミングで転職エージェントやスカウトサイトなどの転職サイトに登録
転職の失敗を回避するステップ:2応募活動
- 候補企業の情報収集(社風)(人)(会社の業績)
- 応募(採用プロセス確認)
- 面談(口コミで気になる部分を確認)
転職の失敗を回避するステップ:3最終決定
- 他社との選択肢比較(複数エージェント利用)
- オファー受諾(目的再確認)
転職で失敗してしまった人のリカバリー方法
今の会社で他に選択肢がないか考える
面接時の要件と内容に相違がある場合、社内のしかるべき窓口で相談してみましょう。
社内監査室のような窓口がある企業もあります。また、採用時の面接を担当した人事の人は状況を知っているので相談してみるのも良いでしょう。会社内で他の選択肢がないか含め相談してみましょう。
転職エージェント経由で入社した場合は、担当のコンサルタントに相談してみるのも良いでしょう。人事側と調整してくれることもあります。(すぐに離職されるとフィーが入らないという事情があるため離職しないよう最善を尽くしてくれるケースが多いです。)
逆に、すぐに別の会社に転職したいと思っている人は、他の転職エージェントに相談してみることも視野に入れましょう。
前職に戻る
以前の条件と同条件で戻れるかは分かりませんが、前職に戻る人も一定数いますし、私自身もそのような人を見てきました。
グローバル企業ではアルムナイ採用と呼ばれる出戻り制度がある会社もありますので、そのような制度で戻れないか交渉してみるのも良いでしょう。
ここで重要なのは、前職の人と良好な関係を保ちつつ退職しておくことです。そのためには、最後まで責任を持って業務を行う、あるいは後任にしっかりと仕事を引き継ぐといったことを行っておきましょう。
今の会社で勤めながら転職活動をする
転職して間もなく次の転職先を探そうという場合には、ネガティブ要因から発作的に退職してしまわないようにしましょう。3ヶ月くらいはじっくり腰を据えて転職活動を行い次の職場を探しましょう。
今の会社を最短で退職して転職活動をする
職歴は、一般的に3ヶ月以内であれば職務経歴書に記載する義務はありません。
経済的に余裕があれば、現職は辞めて派遣やアルバイトなどをしながら慎重に次の職場を探すというのも一つの手段です。
まとめ
転職は、ジョブ型雇用への移行などにも伴い、より一般的になってきていますが、転職に失敗しない方法はまだまだ浸透していない気がします。
転職に失敗する原因は、そもそもの「準備不足」であることが多くの原因ということがお分かりいただけたかと思います。
転職に失敗しないようにするためには、まず初めに目的となるキャリアゴールがあり、そのために今どのような経験が必要なのか、それは転職しなければ実現できないことなのか?と言ったようにそもそものゴールから逆算をして考える必要があります。
また、その過程で結婚や育児で生活環境が変わったことによる「今生活のために取らないといけない選択もある」でしょう。
いずれにしてもその目的に沿った転職を実現すべく慎重に活動を行いましょう。失敗してからのリカバリー方法も紹介しましたが、遠回りになってしまうことは避けられませんので、日頃から準備をしながらキャリアをデザインしていくことが大切です。
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