20代転職

これからの時代に必要なキャリア形成とは?~人生100年時代の自己実現マップの作り方~

キャリア形成とは?

現代社会では、職場環境や雇用形態の変化により、従来の終身雇用制度が崩壊しつつあります。そのため、自身のキャリア形成を意識的に行うことが重要になってきました。

この記事では、個人が会社に依存しない形でのキャリア形成の重要性、メリット、具体的なポイント、および年代別のアプローチについて解説します。

キャリア形成がなぜ重要なのか?

キャリア形成は、個々人が理想的な人生を送るために不可欠です。キャリア形成の本質は、仕事を能動的に捉え、自分自身の価値に沿った主体的なキャリアを実現することです。

この概念は欧米などの先進国では当たり前のことですが、日本では終身雇用など会社に守られる形の雇用制度が主だったため、主体性を育むキャリアを実現する人が比較的少なかったのです。しかし、近年の終身雇用制度の崩壊、ジョブ型雇用の推進などにより、ますます重要性が増しています。

キャリア形成の重要性の理解は、個人だけでなく企業にとっても重要です。以下にキャリア形成の重要性が増している理由を示します。

終身雇用制度の崩壊

かつては終身雇用制度が当たり前でしたが、現代では企業が社員を一生涯雇用することが難しくなりました。

そのため、社員自身がキャリア形成を進めることで、将来の職場での安定を確保する必要があります。

働き方の多様化

オンラインミーティング

近年、働き方が多様化しています。フレックスタイムやリモートワークなど、柔軟な働き方が可能となりました。これによりある程度家庭や趣味と仕事とのワークライフバランスを保つことが可能になりました。

自分が望む理想的なバランスを保つためにキャリア形成を考えることができるようになりました。

ビジネステクノロジーの進化

ビジネステクノロジーの進化により、仕事の形態や内容が大きく変化しています。AIや自動化技術の普及により、一部の業務が既存のマニュアルの仕事に置き換えられる可能性もあります。

この時代のトレンドについていくためには、常にキャリアプランニングをし、軌道修正することで何が求められているかによって自分自身のスキルをアップデートしていく必要があります。

テクノロジーのトレンド

職業人生の長期化

現代では、平均寿命の延長により職業人生の長期化が進んでいます。長期にわたってキャリアを形成し、働き続けるためには、自身の成長やキャリアプランニングが必要です。キャリア形成を進めることで、将来に向けたステップアップやステイイングパワーを維持することが重要です。

以上の理由から、キャリア形成は個人と企業にとって重要な要素です。キャリア形成を進める際には、自身の意識を高めるとともに、新たなスキルや能力の習得が不可欠です。

キャリア形成のメリット

キャリア形成をすることには、さまざまなメリットがあります。以下に、キャリア形成のメリットを紹介します。

目標の明確化

目標設定を明確化する

キャリア形成をするにはプランニングをすることが必要です。このように段階的に考えるため、各ステップでの目標を明確にすることができます。

  1. 目的地(どこに向かっているか)
  2. そのために必要なスキルは何か
  3. そのためにはいつどんな経験が必要か

そのため何歳くらいでどんな目標を立てるべきかが分かり、行き当たりばったりのキャリアパスではなくなるのです。

また、自身のキャリアを振り返ったり、軌道修正をすることで自分自身のキャリアパスをコントロールすることができます。この感覚こそ自信につながるのです。

迷ったり自信が持てない時には、自己の価値や目標を再確認することができます。

主体性を持って仕事ができる

自分の意志でキャリア形成をすることで、中期的、短期的に何をやるべきかが明確になり自己のキャリアに対しての意識が高まります。

それをやるかやらないかは自分次第なので、目標達成のために主体的に動くようになります。企業側としても、積極的に業務に取り組む意識の高い社員には価値がありますから、結果的に自分自身の価値が上がる好循環
ことができます。

自己分析や自己理解ができる

キャリア形成は、自分自身を理解することから始まります。

自己の強みを再認識することで、企業や社会で求められていて貢献できること、また社会で求められている役割とのギャップを認識することもできます。

そういったギャップが自分が足りないことだと認識してスキルアップすることもできますし、自分がやるべき領域ではないという判断をすることもできるでしょう。

そのようなことを含めて主体性をもって取り組むことができることは、何より受け身でやる仕事よりも日々の充実感が違います。

その他のメリット

キャリア形成は、企業にもさまざまなメリットをもたらします。従業員のスキルや意識の向上により、企業全体のレベルも引き上げることができます。

また、仕事の生産性や効率も向上し、従業員の自主性が育まれます。さらに、キャリア形成によって従業員と企業の関係性も強化され、企業価値を向上させることができます。

キャリア形成に成功する3つのポイント

キャリア形成に成功する3ポイント

キャリア形成を成功させるためには、以下のポイントが重要です。

① 自分の価値観に合わせたキャリア形成をする

キャリアは自分の人生の一部分でしかありません。大切なことは、私生活含めた自分自身の人生で大切にしたい価値観を大切にし、それをもとに自分のキャリアを形成することです。

仕事よりも家庭を大事にしたい人が家庭を顧みないくらい残業や土日も働いているとどんな結果になるか想像に易いでしょう。

よくあるキャリア形成の間違いが「他人から見てどう思われるか」を考えてキャリアを選択するようなケースです。一昔前は、両親に医者になれ、弁護士になれと言われるような家庭も多かったようですが、それはあくまであなたではなく親の価値観なのです。

あくまで自分自身の価値観を最優先にキャリア形成を行うことで、主体的なキャリア形成を行うことができます。

② 具体的な中長期計画を立てること

価値観を明確にしたら最初はぼんやりとでも良いので自身のキャリアの最終系を考えます。時間をかけても良いので、修正したり解像度を上げてできるだけ具体的にしていきましょう。

そうすればいつどんなスキルや経験が必要かが明確になってきます。

長期的な視点で考えることや、各役職ごとに必要なスキルを考慮することも有効です。

この計画が緻密であればあるほど実現可能性は高くなります。

転職の面接での志望動機もその時々で考えるのではなく、もともとあった計画なので1から考える必要もないのです。

③ ポジティブな考え方を持つこと

ポジティブな発想を持つことがキャリア形成には重要です。自信を持ちながら、新たな挑戦や発想をすることが大切です。失敗やネガティブな状況にも挫けず、ポジティブな考え方を意識しましょう。

キャリアを進んでいくうえでは、目先の不安に押しつぶされそうになることもあるでしょう。そんなときはキャリアの目標値を改めて鮮明にイメージしましょう。長期的な目線を持てばその不安は必要な1ステップであることが分かるはずです。

以上のポイントを意識しながら、自分にとって良いキャリアを形成することが大切です。キャリア形成は一度だけで終わりではなく、軌道修正しながら進んでいくものです。自己成長と目標達成に向けて、積極的に取り組みましょう。

年代別のキャリア形成

キャリア形成は年齢によって異なる要素が重要となります。20代30代と40代のキャリア形成において特に注意すべきポイントを紹介します。

20代のキャリア形成(前半・後半)

20代前半

20代前半多くの人は新社会人になってから数年のいわばキャリア模索期です。自分自身にあった職務はどんな職務なのか、どういった規模の会社が自分にあっているのか。どんなキャリアゴールを迎えたいのか。

納得いく限り様々な経験を積み、社会を知り、キャリアについて自問自答をしましょう。自分が好きなことややりたいことが分からなくても最低でも嫌いなことや苦手なことはやらないという消去法から選択肢をとるべきでしょう。

20代後半

20代後半になれば早い人ではもう専門性が身に付き、キャリアで新しい経験を積むための次のステップに移っている人もいることでしょう。

ある程度専門性が身に付いた人は、さらにスキルアップをするために社内で異動したり転職で経験値を上げることもできます。20代は採用企業からのニーズも高く引く手あまたですが、あくまで目的に沿った転職を心掛けましょう。

30代のキャリア形成

30代は自分の経歴を見直す重要な時期です。これまでの経験を活かし、仕事に慣れてきている時期です。以下に、30代のキャリア形成において注意すべき点をまとめました。

  • 自身の強みについて見つめ直す: 自分の得意なことや特性を再評価しましょう。
  • 求められている役割やスキルを把握する: 企業や業界が求めている役割やスキルを理解し、必要な能力を身につけていきましょう。
  • 企業に貢献する方法を考える: 自身の経験や能力を活かし、企業にどのように貢献できるかを考えましょう。
  • キャリアプランを検討する: 将来の目標やキャリアプランを考え、自身の成長を見据えていく必要があります。
  • ※特に30代では管理職を進むべきなのかスペシャリストとして専門家の道を進むべきかについて決定する時期でもあります

40代のキャリア形成

40代では、コアスキルの経験範囲とマネジメントスキルのありなしが市場価値を決めるうえでは重要となってきます。

与えられた役割を確実にこなすだけでなく、リーダーシップを発揮し、人材の育成にも取り組む必要があります。これはマネージャーになることを選択しなかった人にとっても、社内の意見をまとめたり、プロジェクトをリードするなどといったリーダーシップを発揮することが求められます。

また、40代では異なる世代の意見や価値観との接点も増えるため、以下の点に注目しましょう。

  • 柔軟なコミュニケーション能力: チームをマネージするため自分自身だけの意見だけでなく、メンバーの意見も取り入れ柔軟に考えることが重要です。
  • 異なる世代の意見に耳を傾ける: 後輩などの意見や価値観を受け入れ、チーム内の意見多様性を尊重しましょう。
  • マネジメントスキルを向上: 経験や研修を活用して、マネジメントスキルを向上させることで、リーダーシップをより良く発揮できるようにしましょう。優れたマネージャーとはチームの生産性を最大化できる人です。
  • キャリア目標を見直し: キャリアが成熟してきたとしても、今後の自身のキャリア目標を見直し、企業や業界の将来性を考慮に入れて計画を立てましょう。

年代によって求められるキャリアの形成は異なります。自身の年代に応じて上記のポイントに注意しながら、キャリアを形成していくことが重要です。

また、自己啓発や研修などを積極的に活用し、常に自分自身のスキルを高める機会を持ちましょう。

企業によるキャリア形成支援

従業員のキャリア形成を支援するために、企業が行う取り組みは非常に重要です。従業員が自己成長し、自身のキャリアを意識的に進めることで主体的に仕事に取り組むようになるからです。結果的に、企業の成長にも直結すると言えるでしょう。

企業が従業員のキャリア形成を支援するための取り組みについて以下に説明します。

キャリアデザイン研修の実施

キャリアデザイン研修を定期的に実施することは、従業員のキャリア形成を促進するために効果的です。この研修では、従業員が自身のキャリアについて考え、将来の目標や志向性を明確化できるような機会を提供します。

外部の研修サービスを活用することで、高品質なフレームワークや専門知識を提供することも可能です。

メンター制度の導入

メンター制度は、先輩社員が若手社員を指導・支援することで、キャリア形成をサポートする制度です。この制度を導入することで、若手社員は実践的なアドバイスや経験を得ることができます。また、メンターとなる先輩社員も、後輩のキャリア形成に向き合うことで自身の成長につながることが期待できます。

個別面談やキャリアカウンセリングの実施

従業員との個別の対話を通じてキャリア形成をサポートするためには、定期的な個別面談やキャリアカウンセリングが重要です。これにより、従業員とのコミュニケーションを通じて、彼らのキャリア形成に関する課題やニーズを把握し、適切なアドバイスやサポートを提供することができます。また、この機会を通じて従業員の成長を評価し、必要に応じてキャリアプランの調整やアップデートを行うことも重要です。

自己啓発の支援

従業員の自己啓発を支援することも重要です。企業は、外部研修の費用を負担したり、オンライン研修サービスを提供することで、従業員の学びの機会を増やすことができます。また、従業員自身が必要と感じるスキルや知識の不足に対して、適切な学習機会やリソースを提供することで、成長を促すことができます。

目標管理制度の導入

目標管理制度を導入することは、キャリア形成を効率的に進めるために重要です。この制度により、従業員はキャリアに関する目標を設定し、定期的に進捗を確認することができます。

人事評価のタイミングで目標の達成状況を評価し、フィードバックを行うことで、従業員の成長を促すことができます。目標設定には具体性と個別性が求められます。

また、一方的に上司一人が評価する制度ではなく、360度評価といった、一緒に働く人々からの表かも取り入れることにより、より公正な評価とすることができます。

人事制度の改善

キャリア形成を支援するためには、人事制度の改善も重要です。社内FA制度や異動自己申告制度を導入することで、従業員の希望を反映した異動やキャリアパスの形成が可能となります。

また、リモートワークやフレックス制度の導入により、従業員の柔軟な働き方をサポートすることも重要です。さらに、退職した元社員に対してアルムナイやジョブ・リターン制度を整備することで、彼らの能力や経験を再び活用する機会を提供することも有益です。

従業員のキャリア形成を支援するためには、企業が積極的な取り組みを行うことが重要です。従業員のキャリアを可視化し、主体的な意識を高めるための取り組みや、キャリア研修やメンター制度の導入、個別面談やキャリアカウンセリングの実施、自己啓発の支援、目標管理制度の導入、人事制度の改善などが有効な手段です。

企業は従業員の成長と組織の成長を両立させるため、持続的な支援策の導入を検討することが重要です。

よくある質問

キャリア形成の重要性とは何ですか?

キャリア形成は、個人の理想的な人生を送るために不可欠な要素です。技術革新や雇用形態の変化により、先行きが見えない社会において、自己の成長と目標達成に向けて積極的に取り組むことが重要です。企業にとっても従業員のキャリア形成を支援することは、組織の成長につながります。

キャリアパスとは何ですか?

キャリアパスとは、自身が見定めるキャリアの目的地に行くために、どういった道のり(パス)を経由するかを計画したものです。最終地をできるだけ明確にすることでキャリアのどの地点でどんな経験やスキルが必要かを明らかにし、計画を立てます。

キャリア形成にはどのようなメリットがありますか?

キャリア形成には、目標の明確化、自発的な仕事への取り組み、自己の強みや企業で求められる役割の把握など、さまざまなメリットがあります。企業にとっても、従業員のスキルや意識の向上、生産性の向上、企業価値の向上などの恩恵を受けることができます。

キャリア形成を成功させるためのポイントは何ですか?

キャリア形成を成功させるためのポイントは、自分の価値観に合わせたキャリア形成、具体的な計画の立案、ポジティブな考え方の3つが重要です。まずは私生活含め自分自身が人生において重要視する価値観を明らかにすることが大事です。

その後、キャリアについての目的をできるだけ具体的にして長期的な視点で計画を立て
前向きな姿勢を持つことが大切です。

企業はどのようにキャリア形成を支援していますか?

企業は、キャリアデザイン研修の実施、メンター制度の導入、個別面談やキャリアカウンセリングの実施、自己啓発の支援、目標管理制度の導入、人事制度の改善など、さまざまな取り組みによってキャリア形成を支援しています。従業員の成長と組織の成長を両立させるための持続的な支援が重要です。

まとめ

キャリア形成は個人と企業にとって重要な要素であり、近年ますます注目されています。キャリア形成には様々なメリットがあり、具体的な計画を立てながら自己の価値観に合わせて進めることが重要です。

また、年代によってキャリア形成の重点も変わってくるため、一度作ったキャリアプランを見直しながら軌道修正することで常に自分自身のキャリアをコントロールしていくことが主体性につながります。

一方で、企業はキャリアデザイン研修やメンター制度の導入など、従業員のキャリア形成をサポートする取り組みを積極的に行うことが望ましいでしょう。

終身雇用が破綻した今、個人と企業が協力して、生涯にわたるキャリアの形成と発展に努めることが重要な時代となっています。

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