転職の軸は「どうやって決めたら良いのか」「面接で聞かれたらなんと答えるべきなのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。転職の軸は転職を考えるにあたりまず最初に明確にしておくべき点です。軸は自分でも表面化できていないケースもありますので、この記事では軸を考える方法や、面接で聞かれた際の回答例などについても解説していきます。
転職の軸とは何か?
転職の軸とは、言い換えると「何を優先順位として転職先を選ぶか」のことです。そのため、まず転職の目的を考えなければいけませんし、その目的が達成できるような転職先を探すことが必要となってきます。
例えば、仕事でステップアップしたい人は、新たなスキルを身に着けたいと思うことでしょう。その場合は、どういった会社に行けば、次に必要とするスキルが身に付くかを考え転職先の企業を選ぶ必要があるでしょう。
また、転職する軸は、キャリアのためだけとは限りません。例えば新たに家族ができた方は、子供のためや奥さんのために時間を使うために転職をするかもしれません。そういったケースのためには、自分の今の価値観の優先順位を明確にしておく必要があります。
転職の軸の種類について
転職の軸には一例ですが、以下のような種類があります。現在の仕事に対する価値観や、キャリアにおける必要性を考え言語化してみましょう。
転職の軸:キャリアアップ
キャリアアップを目指すことを転職の軸とする方法です。よって、どういったスキルを身に着けたいのかということを目的として転職活動をします。まずは将来を見据えて、次に身に着けたいスキルが何かを明確にしたうえで企業を選ぶようにします。
例)管理職になり、チームをマネージするスキルを身につけたい。など。
転職の軸:仕事の内容を変えたい
自分がこれまでやってきた仕事とは違う内容の仕事がしたい方、あるいは理想的な仕事がある方はその仕事を実現するために転職をすることが軸となります。キャリアアップにも似ていますが、どちらかというと、やりたい仕事に就くことが目的ですので、職位を上げることが目的というわけではありません。未経験の仕事だけど、なんとか方向転換したいという人は、未経験募集しているポジションや、派遣社員でもそういった仕事をやらせてくれる企業を探すことが選択肢となるかもしれません。
転職の軸:給料アップ
もっと給料をアップして余裕のある生活がしたいという方などは、給料アップを転職の軸として転職先を考える人もいるでしょう。
単純にとにかく給料を上げたいということはおすすめしませんが、平均給与が高い業界や企業を選ぶことで実現することは可能です。
ただし、あくまで自分自身のキャリアを俯瞰したうえで考えなければ、行き当たりばったりのキャリアになりかねません。中長期的な目線は忘れずに、キャリアアップと同時に給料が上がるような道を選ぶことが理想的と言えます。
転職の軸:ワークライフバランス
残業のない職場で働き、より家族との時間や趣味の時間を増やしたいという方はワークライフバランスを転職の軸に会社選びをしましょう。気を付けなければいけない点は、ワークライフバランスを軸とすることで仕事の内容自体、満足しない仕事を選んでしまうことです。ワークライフバランスを軸に選ぶと言えど、一定の仕事内容に満足できるよう仕事内容についても最低限のラインを決めておきましょう。
転職の軸:職場環境を変えたい
人間、カルチャーなど自分にとってストレスのない環境を選んで仕事に専念したい。あるいは、自分がもっともパフォーマンスを出せる環境を選び活躍できる会社を選びたいなど、職番環境を転職の軸として考える人もいるでしょう。
この場合、一番大切なことは企業文化が自分に合っているかどうかです。企業文化は戦略や仕事のKPIの考えかたや評価に影響しています。また企業文化によりその会社で働く人々のタイプも変わってきます。事前の企業研究を行い、自分自身にとって適切な環境を選びましょう。自分自身にとって共に働く人や企業文化は想像以上に重要で、その職場で活躍できるかどうかを決める重要な要素です。
自分の適性や強みを生かせる環境を十分に考えて会社選びを行いましょう。
自分の転職の軸を考える方法
自分の転職の軸を決めずに転職することは、手あたり次第に転職先を探すようなものです。しっかりと明確な軸を決めたうえで、転職活動に望むようにしましょう。
ここでは、どのように転職の軸を決めるかについていくつかの方法を解説します。
転職の軸をキャリアゴールから逆算する方法
まずは、自分が最終的に実現したい姿を明確にします。そこから逆算して、何歳でどういった状態になりたいかを決めます。それをベースにそれらを実現するためのキャリアパスを考えましょう。プライベートで、結婚して子供が欲しいと考えている場合はその辺も加味したうえでなりたい姿や状況を洗い出すとよいでしょう。(スキル・ポジション・年収、働き方などできるだけ具体的に)さらに現在までさかのぼって、今必要なものを考えましょう。
そして、それを今の職場で実現できているかを考え、1年後は?3年後はどうか?5年後はどうか?
キャリアを実現するにあたり、時間が経過とともに必要なものは何かを考えることが大切です。
転職の軸を価値観から考える方法
より自分自身を俯瞰し、価値観の優先順位を考えることから始める方法です。仕事、家族、お金、友人、趣味、健康、自由など主だった価値観を挙げてそれぞれの優先順位をつけていきます。なぜすべての価値観を挙げるかというと、じつは家族との時間を持つということが自分にとって重要なのに、仕事の価値観だけで考えてしまうと、結果その家族との時間を犠牲にしてしまう可能性があるからです。
そして、出てきた優先順位の価値観を実現するためには、どういった職場で働くことがベストなのかを考え転職活動を行います。
私自身、重要な価値観を考えずに仕事を選んでいた時期がありましたが、その結果非常にストレス多い時期をおくったことがありました。全体を俯瞰してみてバランスを取るようにましょう。
面接での転職の軸回答例(例文)
面接では「転職の軸はなんですか?」とはあまり聞かれません。「転職理由や間接的にはその企業の志望動機」という形で聞かれることが多いでしょう。
ここでは転職の軸別に一例として回答例を紹介しますので参考にしてください。
キャリアアップの場合
管理職を目指す場合
(例文):「これまでは法人営業職でチームリーダーとして仕事をしてきました。営業成績はリーダーとして常にチーム内では上位になる成績を上げてきましたが、徐々にチームで成果を挙げるともっと面白いのではないかと興味を持つようになりました。
今回の転職ではステップアップとしてチームマネージできるような立場で仕事がしたいと考えています。今回は私の希望であるマネージャー候補のポジションであったことと、業界や商材的にも私の経験領域に近くかつ魅力がある商材を扱っている御社なので、貢献ができると思い応募しました。」
(ワンポイントアドバイス)
ここでのポイントはあくまで自分が目標とすることができればとにかく良いという言い方ではなく、自分がやりたいことができてかつ御社に貢献できるというWin-winな企業に行きたいとアピールすることです。
仕事の領域を広げたい場合
(例文):「これまではアプリ開発のフロントサイドのUIUXにエンジニアとして開発に携わってきましたが、成功したプロジェクトの共通点は、上流の調査でカスタマーインサイトを見つけそれを反映したプロダクトだということに確信を持ち、私自身がその部分をリードしたいという思いが募るようになりました。今回の転職では、よりプロダクト開発の上流であるUIUXのコンセプトやデザイン設計から携われるポジションへステップアップしたいと考えています。」
(ワンポイントアドバイス)
現職や前職の中で仕事をしていく中で次第に興味を持ったということを表現すると良いです。「今はその思いが強くなって転職を選んだ。現職ではそれが実現できない」といったことも事前に社内で確認したことも準備しておくと良いでしょう。
ワークライフバランスの場合
(例文):「前職では平日遅くまでの残業と土日出勤が常態化していました。これを改善すべく、業務効率改善の仕組み、シフト勤務制の提案を実施しましたが、文化的にそれを実現することは難しいと言われ断念した経緯があります。仕事自体には満足していましたが家族もいるため、今回の転職では内容が近しい企業で成果ベースで評価をしてもらえる会社を探しています。短期間で成果を挙げれる仕組みづくりを行い、タイムマネジメントに徹してきましたので短期間で成果を挙げることには自信があります。」
(ワンポイントアドバイス)
ワークライフバランスを強調するのであれば前職で過度な残業が常態化していたことを話さなければいけません。また、理想的にはその状態化した状況を改善しようとしたけども実現しなかった、あるいは状況的に無理だったといった理由が必要でしょう。
また、ワークライフバランスを求めるにしても、前提として「仕事内容」が一致していることも重要です。あくまで、仕事内容はマッチしているうえで、プラスアルファとしてワークライフバランスが良いところが希望、という重みづけにしたほうが面接官にとっての印象も良いです。
給料アップの場合
(例文1)成果主義を希望するパターン
「自分の実力をもっと試したいのでより成果主義、実力主義の文化の会社で自分を試してみたい。」
(例文2)キャリアアップを希望するパターン
「キャリアアップをしてよりダイレクトにその企業への貢献ができるポジションに転職したい」
(ワンポイントアドバイス)
給料を上げるために転職します、というストレートな表現はできるだけ避けましょう。結果的にそうなるにはどうしたらよいか?という視点で置き換えてみます。例として「成果に対して正当な評価を受けることができる企業に転職したい」といった表現にすることができます。また職能をプラスすることにより「〇〇をやることによって給料を上げる」と置き換えてみると良いです。〇〇の部分が面接で回答する部分になります。例えば、マネージャーなど管理職になると一般的に給料が上がりますが、マネージャーとしてキャリアアップをしたいので、チームをマネージできるポジションを希望しています。」といった具合です。
転職の軸が正しいか分からない時は
軸についてどうしても分からない。あるいは考えてもしっくりこない場合は、転職のタイミングではないかもしれません。そういった場合は、身近な人や転職のプロである転職エージェントのキャリアコンサルタントに相談してみましょう。
家族や友人など身近であなたのことをよく知っている人はあなたに合った転職のアドバイスをくれるでしょう。また、転職エージェントのコンサルタントは、あなたと同じような状況の人を数多く見てきていますので、事例を教えてくれながらアドバイスをくれるはずです。
人生を左右する可能性のある転職ですから、困ったときや自信のないときは一人で抱え込まず、信頼できる人に相談してみましょう。
まとめ
転職の軸は最初に明確にしておくことが重要で、転職で何を優先に企業を選ぶかということに繋がります。転職活動をはじめる前に言語化しておきましょう。
その際、キャリアのみならず自分の人生において何が大切な価値観か、を明確にしておくことも重要です。家族が優先であるのにキャリアだけに集中してしまうと家族との時間を犠牲にしてしまう可能性があるからです。
これらは自己分析の一部ですので、事前に行うようにしましょう。一人で完全にクリアにできない場合は転職エージェントなどプロに相談してみることもおすすめします。
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