外資系への転職

外資系マーケティング職への転職で知っておきたい理想的なキャリアパス

マーケティングキャリア

マーケティングを志す人は、マーケターとしてのキャリアパスの中で外資系への転職を検討することも出てくることでしょう。かくいう私も今やマーケティングを20年やっていますが、途中やはり外資系のキャリアを経験し、現在の日系グローバル企業のマーケティング職として働いています。

私の場合は計画的ではなかったので、紆余曲折ありましたが、最短で外資系マーケティングのキャリアを歩んだり転職に成功するキャリアパスは存在します。

ここでは理想的なキャリアパスとキャリアを構築していく方法について紹介していきたいと思います。

外資系企業におけるマーケティングの種類

外資系マーケティングの職種の種類

マーケティングの職種は、商品リサーチ→商品開発→認知醸成→リード獲得→新規顧客獲得→既存顧客教育ロイヤリティ醸成 といったいわゆるマーケティングファネルが幅広くなっているため職種も多岐に渡ります。

特に外資系企業のマーケティング職種はビジネスの規模にもよりますが、細分化されていることが多く、それぞれの専門家が存在します。

マーケティングファネル
参照元:宣伝会議デジタルマガジン

ここでは大きく商品開発などの上流工程、認知、獲得、エンゲージメントという4分割にして代表的な職種を挙げてみました。

  • 商品開発工程: プロダクトマーケティング、マーケティングリサーチ、プロダクトディベロップメント 
  • 商品認知: PR、コミュニケーション(マスメディア、デジタル、ソーシャル)ブランドマネージャー
  • 顧客獲得: パフォーマンスマーケティング、フィールドマーケティング、メディアバイイング、プログラマティックバイイング、UI/UXスペシャリスト など
  • エンゲージメント: カスタマーサクセス、CRM、CX/UXスペシャリスト

比較的ビジネス規模の小さな外資系企業では、より一人のスペシャリストが見る範囲が広がります。例えばデジタルマーケティングスペシャリストがデジタル関係の施策はすべて見るというイメージになります。

商材によって外資系マーケッターの特性は変わる

外資系のマーケッターは専門性をどこに置くかでやるべきことが大きく変わります。

職種のみならず、商材の種類やビジネスの形態などでもやることは大きく変わりますので、自分がそれぞれどこに分類されるのかを認識しておくと良いでしょう。

  1. 商材の種類:無形商材か有形商材
  2. 業界:B to B(対企業) B to C(対消費者)
  3. 形態:Eコマース、OMO、店舗販売、など

外資系企業転職の際に知っておきたい職位の階層

どの外資系も、職位階層は以下のような階層となっている企業が多いです。スタッフレベルがいわゆる入門したてのころのスタッフレベルから始まり、そこからスペシャリスト(専門家)になります。

途中、エキスパートかマネージャーかという分岐(管理職かスタンドアローンか)を選ぶ時もありますが、それ以降はマネージャーとなりチームをマネージしていく役割となることが一般的です。

<マーケティングキャリアの一般的な階層>

  • スタッフ(ジュニアレベル)
  • スペシャリスト
  • シニアスペシャリスト
  • (エキスパート)
  • マネージャー
  • シニアマネージャー
  • ダイレクター
  • VP

外資系のマーケッターにとって理想的なキャリアパス

キャリアパス

いわゆるマーケティング初心者の人が1からキャリアを構築する場合に、理想的なキャリアパスについて考えてみました。ここでは大きく3つのステップに分けて考えています。

1.専門性確立期→代理店やコンサルティングファーム

できれば認知などのコミュニケーション特化代理店、とデジタルマーケティングのパフォーマンス系代理店を2つそれぞれ経験しておくと幅は広がります。未経験者が最初からマーケテイング業務に携わるというのは、零細企業ならともかく、大手企業に入り込むことはなかなか難易度が高いです。

また、知識も事業者サイドから入ると、その企業のマーケテイングの知識に偏ってしまうので代理店で幅広いクライアントを見て、知見を広めるということが後に事業者側に行く際にも生きてきます。

最初専門性を決める際に、自分がどういった商材を扱ってよいか分からない人は幅広く見れる広告代理店をおすすめします。

私も一度はデジタル系を事業者側で行い、それからもっと幅広くいろんな商材のマーケティングを経験したいと思い代理店に行きました。デジタルマーケティングを中心とした代理店でしたが、そこでの経験が今の事業者サイドでの仕事に生きていると言えます。

商材を幅広く見れたことによる普遍的なマーケティングの考え方、デジタルとTVや紙媒体、あるいはイベントなどのオフライン施策との連携の仕方などが理解できて非常に勉強になりました。

2.専門性深掘り期→事業者側

代理店などで自分が取り扱い商材や、やりたいマーケティングの種類の見極めができれば専門性深掘り期には事業者側で経験を積んでいくことが理想的です。

なぜなら、代理店側での表面的に見る広告の費用対効果よりも事業者側ではより深掘りして費用対効果を見ることが必要になります。顧客を広告で獲得したその後、結果的にいくら利益をもらたしたのかを明らかにしなければいけません。

それこそが事業にとって本質的な費用対効果であり、そこで結果を出すことこそがマーケテイングのプロフェッショナルと言えます。マーケティングとは企業にとっての投資活動であり、妥当性のある施策を取捨選択し、実行してリターンを得ることが活動の本質なのです。

3.専門性×管理職→事業者側

専門性を確立し、事業者側でマーケティングのプロフェッショナルとして活動ができるようになったら、次はチームをマネージしてより大きな結果を出すことが求められるようになります。ここでは事業者側での経験をしておくことをお勧めします。

なぜなら、マーケティング予算も任されることになり、その予算に対しての費用対効果にある程度コミットすることになるからです。

予算に応じて、チームのタスク配分を決めたり、最終的なアウトプットがきちんと出るようにする責任が生じます。

一方で、あくまで自分はクライアントをサポートする側でありたいという人は、代理店側などで、クライアントを一つのプロジェクト的にチームで見ていく、といった活動の指揮を取ることが次のステップでは求められてきます。

どちらが自分に向いているかは自分の適性に合った方を選べば良いと思いますが、代理店側は一般的に事業者側よりも忙しいです。

また、事業者サイドが未経験の人は、40代くらいからは、代理店側から事業者側へ転職することは徐々に難しくなってきます。

今最もニーズのあるマーケティング領域

今最もホットで市場価値の高いマーケッターはデジタルマーケティングができる人材です。デジタルマーケティングは顧客に関するデータをベースに顧客との接点を考え、戦略を作っていく仕事ですので、マーケティングの理解に加え、データベースやシステムなどのIT側の知識も一定必要になってきます。

また、CustomerExperience(通称CX)と呼ばれる職種とも密に関係してきますので、その辺の理解があると更にプラスになるでしょう。

マーケティングとは少し文脈がそれ、よりIT寄りになりますがDigitalTransformation(通称DX)も昨今ではどの企業も注目していますので、DX界隈の経験がある人は市場価値が非常に高くなっています。私自身、Webマーケティングから始め、デジタルマーケティング、DXと自分自身の職務領域を時代に合わせて広げていくことで市場価値を上げてきました。

また、転職市場で自分の名前を知ってもらうには、オンリーワンの存在になる必要があります。その際、一つの職務だけで突き抜けることは至難の業です。「マーケテイングの種類×業界」の掛け合わせでオンリーワンを目指しましょう。

さらにマネージスキルなどのソフトスキルをかけ合わせるとオンリーワンになりやすくなります。

オンリーワンになるには、自分を分かりやすく表現ができるか考えてみましょう。

例)「サブスク業界のCXマスター」「無形商材のリード獲得の達人」など

外資系マーケティング職の給与レンジ

以下はマーケティング職の給与レンジになります。エントリーレベルからマーケティングダイレクター(部長)職の給与レンジをざっと並べてみました。

給与に関しては業界や希少性によっても変動はありますので、あくまでご参考までにご覧ください。

  • スタッフレベル 300~500万円
  • スペシャリスト 400~700万円
  • シニアスペシャリスト 500~1,000万円
  • マーケティングマネージャー 800~1,200万円
  • マーケティングダイレクター 1,200万円~2,500万円

外資系企業に特化した転職エージェントを選ぶ

エージェント

決して間違えてはいけないのが、選ぶべき転職エージェントです。

私自身の失敗談をお話しすると、キャリア初期には誰もが知る大手日系エージェント数社を利用し、外資系などの英語が使える企業を紹介するように依頼をしていました。

結果として、日系企業で少し英語が業務で使えるような企業を紹介されるといった感じで、外資系企業は当時は全く紹介されませんでした。

一方で、本国側でのパイプをもっている外資系の転職エージェントは多くの外資系企業とつながっていることもあり、多くの外資系企業のマーケティング案件を紹介してもらえました。

はじめてイギリス系の転職エージェントを使った時に、びっくりするような魅力的な消費財のマーケティングの案件をたくさん紹介してもらったことを覚えています。

「外資系の案件はこんなところに集まっているのか」と本当にびっくりしました。

その後は、大手外資系の転職エージェントを中心に使っていますが、もっと20代の初期にこういったエージェントとのご縁があったら私のキャリアもずいぶん変わっていただろうと思います。

日系エージェントに外資系を紹介してもらうことは不可能ではありませんが、外資系に精通しているエージェントのほうが採用企業の取扱数、リレーション、情報量が全く違いますので、寄り道せずそういったエージェントを使いましょう。

エージェントに抵抗がある方は、Linkedinや他ジョブサイトからの直接応募も有効です。寄り道すると時間の無駄になってしまい、時にそれは中長期でキャリアを見たときに致命的なこともあります。

エージェントの利用について詳細は→「転職エージェントとは?利用するメリットデメリットも解説

おすすめ外資系転職エージェント

日本で外資系企業に強い転職エージェントで、実績のある企業を紹介いたします。小さなブティックファームと呼ばれるエージェントで業界特化でやっているような企業もあり、対応が良い所もあります。色々なエージェントに登録して話を聞いてみましょう。

自分に合ったコンサルタントに出会えばキャリアが180度変わるくらいのチャンスをもたらしてくれることもあります。

【2024年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)も参考にしてください。

JACデジタル(JACリクルートメント)

JACにはJACデジタルというデジタル領域に特化した部門があり、元日本マイクロソフトの執行役員であるJAC Digital 澤円氏を迎えその体制を強化しています。積極的にIT系企業やDXを必要としている企業を支援しているので、常時様々なポジションを保有しています。

実際に私が採用をしている側でもDX領域でよくお付き合いしていましたが、JACはコンサルタント一人ひとりのフォロアップ力が高く、面接対策などが充実していました。また、採用側でもスピードがとにかく速いことが印象的でした。

JAC Digital の公式ページを見る

JACリクルートメント

イギリスで日本人が創業した会社です。

扱っている求人は外資系企業と日系グローバル企業に強くコンサルタントはきめ細かな対応が特徴。フットワーク軽く柔軟に対応してくれます。外資系企業への転職を考えたらまず一度登録してみるべき総合転職エージェントと言えます。

JACリクルートメントの公式サイトを見る

JACリクルートメント

Robert Walters(ロバートウォルターズ) 

コンサルタントはコミュニケーション能力の高い外国人が多く、採用企業に対しての提案力や推薦力が高い外資系転職エージェントです。

グローバルの人材エージェントに贈られる「ベストリクルートメントオブザイヤー」を2年連続受賞。また、人気大手外資系企業案件に強みをもち、外資系の人材企業が対象となる「リクルートメントアワードオフザイヤー大手企業部門」も受賞しています。

Robert Walters(ロバートウォルターズ)の公式サイトを見る

ロバートウォルターズ

Michael Page(マイケルペイジ)

イギリスでは老舗の大手転職エージェント。

その信頼も厚く日本でも外資系企業から厚い信頼を誇るため非公開で求人を依頼されることが多く独占案件も多い。転職希望者には丁寧な面接対策が実施され、決定率も非常に高い外資系の転職エージェントです。

Michael Page(マイケルペイジ)の公式サイトを見る

マイケルペイジ

Randstad(ランスタッド)

ランスタッドはグローバルでNo.2の人材会社です。

正社員領域では”Randstad Professionals”があり外資系領域に強みを持ちます。少数精鋭でしたが、ビジネスが拡大していく中で、専門的な知識を持ったキャリアコンサルタントも増えています。

今、外資系転職エージェントの中で一番勢いのある企業です。

Randstad(ランスタッド)の公式サイトを見る

LHH転職エージェント(旧:Spring)

LHHは、世界トップシェアを誇るアデコグループの人材紹介部門ですが、元々は外資系企業に特化したコンサルタントが集まった少数精鋭の外資系転職エージェントでした。

そのため多くの外資系企業案件を保有しています。アデコグループとの合併によりサービス体制が強化されました。

LHH転職エージェントの公式サイトを見る

まとめ

マーケティングで外資系を志す人は、まず一つ抜きんでた専門性を作りましょう。

業界特化にするのか、あるいは、マーケティングの職務領域の中のある1ジャンルのマーケティングなのか。業界×職務領域の掛け合わせて考えると、オンリーワンの人材になりやすくなります。例えばB to Bのデジタルマーケティング専門のマーケッターは市場には非常に少なく、声がかかりやすいと言えます。

どうしてもマーケティングというとB to Cの商材や華やかな業界をイメージする人も多いのですが、商材の数だけマーケティングの手法があります。世間的に華やかとされるところを目指すよりも、真に自分が取り扱いたいプロダクトや、面白いと感じることを突き詰めていくと自然とキャリアは尖りだし、希少人材となるものです。

マーケティングの本質はビジネスの投資配分を顧客接点の中でどのように最適化していくかを考え、利益を最大化していくことです。自分が貢献したい業界や商材、様々な可能性をキャリア初期から考え、価値観にあったものを選ぶことをおすすめします。

<おすすめ関連記事>

【2024年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)

外資系への転職未経験の人が知っておくべきことと転職で抑えておく3つの方法(年代別)

外資系の転職で必要なTOEIC点数と実務で必要な英語力について

【2024年最新版】外資系企業の中途採用まとめ(採用プロセス、内定の取り方、条件交渉の仕方)