同業他社への転職は昨今珍しくはありませんが、転職した人はどんな志望動機や転職理由で職しているのでしょうか?私が採用側として同業他社間での応募者を数多く見てきた経験や、自分自身の同業他社への転職経験から、例文を交えて紹介したいと思います。
同業他社への転職理由 パターン別文例
「給与アップ」が転職理由の場合
同業他社への転職で一番多い理由の一つが給与アップです。給与が上がらないけど、仕事だけは経験値とともに確実に増えているという人もいると思います。そういった人は心機一転、少し違う仕事内容で給与も上がる環境に行きたいと考えることも当然でしょう。
給与が上がる=スキルや職位があがると言い換え、次のスキルや職位にチャレンジするような転職理由に変換できると理想的です。
実際の転職理由事例①:
「ファンのコミュニティプラットフォームを小規模ながら運営し顧客同士のつながりを生むことに注力してきました。今後は、この領域をよりスケールの大きなエンゲージメント領域にチャレンジしたいと思いコミュニティのみならずマーケティングのエンゲージメント戦略から考えれる御社のポジションに応募させていただきました。まずは私自身が携わってきた経験が生かしつつ、マーケティング部門と協業しながら戦略部分にも貢献したいと思っています。」
実際の転職理由事例②
「サプライチェーンマネジメントの供給側で主に調達や生産計画をしていましたが、次第にデマンドサイドにも立ちよりConsumerに近い立場でデータを読み、需要予測のスキルを得て総合的にサプライチェーンの計画をマネージできるようになりたいと考えています。今回双方の経験ができる御社に応募をさせていただきました。」
「コールセンタースタッフという顧客のクレーム対応領域から提案型のカスタマーサクセス領域にステップアップしたいと常々考えていました。現職ではそのポジションがなかったため提案したがそういった構想は当面ないと言われた。御社ではこの領域が新設されたということでその領域で貢献したいと考えています。」
ワンポイントアドバイス
給与アップ=新たなスキル あるいは より大きなインパクトを与えるスキルを身に付けることだと考えましょう。そうすることで、転職理由は「仕事の幅を広げる」ことか「より今の仕事を深掘りしエキスパートになる」のどちらかになります。どういったスキルを上げることが目標かという転職理由に転換できると良いでしょう。
また、ポジティブな言葉(チャレンジなど)に置き換えることが必須です。「例えばいつも同じ内容の仕事を繰り返すだけで給与も上がらない」⇒「1つの仕事に従事してきたことで、次なるチャレンジとして〇〇という仕事がやりたくなったため転職したい」といった具合です。
「マネージャー経験がしたい」が転職理由の場合
マネージャーになりたいけど今の会社でポジションが空かない、あるいは先が見えないというケースで転職するケースはよく見かけます。転職するには前向きな理由ですし、転職を一つの選択肢して良いでしょう。
実際の転職理由事例:
「営業を始めた当初なかなか成績が上がらない時に、チームマネージャーに営業というのは問題解決だ。という言葉をもらい、そこから自身の視点を変えることで成績が翌期から150%と大きく変わりました。これまでは1メンバーとして従事してきましたが、マネージャーとしてメンバーにアドバイスを与えよりチームとして大きな成果を出したいと思っています。」
ワンポイントアドバイス:
採用側から見てマネージャーになりたいというモチベーションは主体性があり印象も良いです。そう思ったきっかけを職務経験を交えて具体的に話す準備をしておきましょう。また、どのようなマネージャーになりたいのか、どのようにチームビルディングしていきたいのかという自分なりのビジョンが話せると尚良いです。具体的にマネージャーの職務について研究したという部分もモチベーションの高さがうかがえるので、イメージを持てるよう準備しておきましょう。
引き抜きをされた場合の転職理由
同業他社間では引き抜きも最近では珍しくなくなってきています。特に転職エージェントのデータベースに登録されている人には声がかかることもあります。
引き抜かれるということは、ある程度相手方も自分のバックグラウンドを理解している前提でのオファーなのですが、面接などのプロセスは発生します。(通常、名指しで指名を受けた場合などは簡易的な面接プロセスとなります。)
実際の転職理由事例:
「よりクリアなビジョンを持っているので、私の営業信念と会っている気がした。また、社員にも浸透していると感じる。前職の経験を生かしてより大きな成果を達成したい。」
「より大きなチャレンジがしたいと思っていた。今回はチームを設立するという役割でのオファーであるが、その領域に挑戦してみたい。」
「この業界の風潮を変えるような新しい打ち手を考えたい。チャンスがあるなら経営企画として企画立案していきたい。」
同業他社へ転職で避けた方が良い3つのパターンと転職理由
あまり大きな転職の目的がない
目的を見いだせない転職は失敗する可能性があります。なぜなら転職では環境が変わりそれなりに大きなストレスを伴うもので乗り越える一定の覚悟が必要だからです。「同業他社にいいポジションがある」という場合は今一度長期的なゴールを見据えたうえで今回の転職の目的について考えてみましょう。
転職を予定していなかったが引き抜きがあった
転職を予定してなかったのに、あなたにアプローチしてきたことがうれしくて転職をしてしまう。こういった人が少なからずいますが、その一時的な気持ちで転職をして後悔する人もいます。転職にはそれなりの覚悟を伴うので冷静にあなたにとって必要な転職なのかを考えましょう。多くの場合、予期せぬ行き当たりばったりの転職は失敗します。
給与アップだけが目的
転職の際には給与目的ではなくスキルや経験ベースでの転職をおすすめしています。なぜなら給与は転職で最適化されるので後でついてくるからです。
逆に今経験をしておけば後に市場価値が上がるような転職は少し給与部分は我慢してでもその機会を取ることも有効でしょう。
ワークライフバランスを改善したい
ワークライフバランスを改善したいといって転職をする人がいますが、次の職場でも同じように忙しい思いをしていてあまり状況が変わってない人をよく見かけます。
これには理由があります。
- 業界の風潮であることが多い
- 環境ではなく、自分の仕事の仕方に問題があることが多い
- 違うホワイトな業界を狙った方が確実
本当に企業の環境が悪いと言うこともあるのですが、まずは上記を確認してみたうえで転職の検討をする必要があるでしょう。また、実際にワークライフバランスが非常に悪い企業で勤めている場合も、その根本原因が変えれない理由や、改善のための提案をしたが通らなかったくらいのことが言えると良いでしょう。
同業他社の転職理由に困ったら転職エージェントを利用してみよう
同業他社に行くのに自分の転職理由が正しいか確信が持てない場合は転職エージェントに相談してみましょう。彼らは転職のプロなので同業他社に行った事例なども良く知っています。採用企業との関係性の中からどういった転職理由が有効かアドバイスをくれます。
転職エージェントは基本的にサービス料は無料で以下のサービスを提供してくれます。
応募前の職務経歴書の準備や面接の準備
転職理由含めや職務経歴書の書き方など応募前に相談すればアドバイスをくれます。また、応募後もいざ面談に進となった場合には事前に面接の情報共有や模擬面接など行ってくれます。
スケジュール調整してくれる
スケジュール調整など一任できることは、個人で応募して自分ですべての調整を行うことを考えるととても大きなメリットです。
給与交渉してくれる
同業他社に行く際には特に給与交渉は大切です。自分自身で交渉することは難しいと思う場合は転職エージェントに一任してみましょう。給与条件が上がると、彼らにとっての成果報酬額も上がるためお互いWin-winの関係で依頼をすることができます。
関連記事:転職エージェントとの面談で絶対にやってはいけないこと8選~あなたが知らないエージェント側でのランク付けについて~
優秀な転職アドバイザーやキャリアコンサルタントの力量を見抜く3つのポイント
おすすめの転職エージェント
en world(エンワールド)
業界ごとに特化した部門があり、非常に優秀なコンサルタントがそろっています。最初の面談でまず細かくヒアリング、そこからのフォローアップも非常にきめ細やかです。入社後のフォローもあるのが特徴です。
JAC(ジェイエイシー)
伴奏力が高いエージェントです。エージェントのマッチング力は最初の面談時のヒアリング力が鍵となりますが、ヒアリング力が高くそれが結果的に求人紹介のマッチング力、スピードが高いエージェントです。
採用側から見ても候補者の提案力が他のエージェントに比べ非常に高いのが特徴です。面接対策も充実していますので初めて使うエージェントとしてもお勧めします。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、私が初めて使った転職エージェントでしたが、特に30代前後の転職希望者にとってはお勧めのエージェントです。担当者が親身になってキャリアパスの設計方法など教えてくれたり面接前のアドバイスや面接後の反省点などを一緒に考えてくれます。古くからある大手エージェントなのでシステム化されていてフォローアップもまめに行われます。
外資系のエージェントのお勧めはこちら:【2023年版】 外資系転職エージェント・転職サイトおすすめ一覧(業界別)|転職ゲートウェイ
まとめ
同業他社の転職は現職でなぜ実現できなかったかというところがポイントになります。できるだけ以下のようにポジティブな理由に転換すると良いでしょう。
・スキルアップや新しいチャレンジにつなげる理由に転換する
・現職よりも共感するビジョンや文化がある
また、同業他社への転職時に避けた方が良いケースは以下のようなものがあります。
・転職の目的がない
・引き抜きの言葉についつい誘われてしまう
・給与目的のみ
・ワークライフバランス改善(場合による)
できれば多くの事例を知っている転職エージェントで、あなたが属している業界に専門性を持った転職コンサルタントに相談してみることをおすすめします。
<おすすめ関連記事>
キャリアアップを転職理由にする3つのコツと採用側から見た印象【男女事例あり】
転職理由「新しいことに挑戦したい」の例文紹介と面接での印象を爆上げする3つのポイント
転職理由をワークライフバランスとして組み立てる3つのポイントと成功・失敗事例