じつは転職エージェントとの登録面談でその後エージェントのあなたに対する対応が9割決まると言っても過言ではありません。なので、面談で絶対にやってはいけないことを抑えておかないとその後の転職活動が効率的に進みません。
転職エージェント100社以上使い倒してきた筆者が、転職後にあなたの情報が実際にどう取り扱われているのかを見ながら転職エージェントとの面談の重要性について解説していきます。
転職エージェントとの面談情報がどう使われているか理解する”候補者のランク付け”
転職エージェントでの面談がどれだけ重要かの理解には、その情報がどのようにエージェント内で利用されるかを理解しておくと良いでしょう。ここではあなたの情報が社内で利用されるまでのフローを書きました。
Step 1.データベースに登録される
まず初回の転職エージェントのコンサルタントとの面談での情報やあなたの履歴書、経歴書はその転職エージェントのデータベースに登録されます。(個人情報の取り扱い規約に同意する必要あり)
Step 2.データベース上で転職希望者の情報はランク付けされる
転職エージェントによって項目はまちまちですが、面談した転職希望者の情報は、コミュニケーション能力や印象など項目ごとに点数付けされデータベースに登録されます。
評価の点数で総合力が「S」評価の人だけ検索することも可能です。逆に言うと、「F」(不可」という評価を最初に着けられてしまうとそれが永遠にデータベースに残ってしまうのです。
例)総合点「A」コミュニケーション能力「S」身だしなみ「B」など
Step 3.データベースの情報は所属するコンサルタントが参照する
そのデータベースの情報はそのエージェントに所属する転職コンサルタント全員が参照できるようになります。どのように参照するかというと分かりやすく言うと「キーワード検索」です。例えば「SQL」というIT言語スキルが必要な希望者がいると「SQL」でヒットした転職希望者を探すことができます。その中で現在転職活動中の方でマッチした人に対して案件が紹介されることになります。
Step 4.参照した情報をチーム内で共有される
データベースにある情報を、思い当たるポジションを持っているコンサルタントに共有します。例えばSalesforce上で簡単にそういった情報共有ができる機能があったりするので、良い情報を持っている候補者は、たくさんのコンサルタントに共有されます。
転職エージェントとの面談の流れについて
転職エージェントとの面談の流れをご紹介します。あくまで一例ですが、たいていの場合、この流れで面談が実施されます。最終的には早く④の案件紹介をしてもらいたいわけですが、その前提として①~③のステップがスムーズに行われることが必要です。
つまり、①~③とは事前にあなた自身の整理をして書類の準備をしておけば当日もスムーズに進むはずです。
- 自己紹介・経歴確認(履歴書や職務経歴書にもとづいて)
- 転職理由確認
- 希望条件確認
- 案件紹介
転職エージェントとの面談で絶対にやってはいけないこと8選
1.面談に向けて書類準備をしない
面談前には効率的にコンサルティングができるよう、事前に履歴書や職務経歴書の提出依頼があります。事前に準備しておけば面談で本題に入りことができ、案件も紹介してもらえることもあります。効率的に進めるためには、事前準備をしておきましょう。
2.きちんと自己PRしない
転職エージェントだからといって自己PRをきちんとしておかないと強みがない人や消極的な人だと思われてしまいます。きちんとPRしておくと印象が良くその人の人物評価として高く評価されることにつながります。結果的にそこに基づいて案件などを紹介してくれるのでできるだけ本番に近い内容でPRするようにしましょう。
3.他エージェントで進んでいる選考を共有しない
他エージェントで選考が進んでいる場合は、他社の名前まで言わなくても良いですが、ある程度どういった企業でどこまで選考が進んでいるかを伝えましょう。伝えることによって、コンサルタントとしては既に転職意志があり、他で進んでいる候補者として早く他の案件を紹介してくれます。また進んでいる企業自体がどういったポジションを希望しているかという参考にもなるので、紹介もしやすくなります。
4.現職条件や希望条件を共有しない
現職での給与条件を共有しないと次に紹介するポジションのおおよその目安がつきません。また、そもそも採用企業に紹介することができないので、伝えておきましょう。
自分の正確な給与を知るには事前に給与明細や前年度の源泉徴収票などを確認しておけば良いでしょう。
5.面談時の態度が悪い
転職エージェントとの面談の際に「良いポジションを紹介してくれるんですよね」という上から目線の態度で面談をしたり、面談中終始人の話を聞かないなど非常識な態度で接してはいけません。
普段からそういったコミュニケーションの取り方をする人だと思われ、その評価がエージェントのデータベースに残ってしまいます。
6.転職をしたくないようなそぶりをする
転職エージェントは転職希望者が転職してはじめて成果が発生する報酬制度で働いていますから、当然「転職する気がない」という人には案件紹介はされません。
仮に今すぐ転職する気持ちがなかったとしても、新しい機会に対してオープンだと言うことは見せておきましょう。
7.自分を特別扱いするような要求をする
「興味のある企業の選考をなんとか通してくれるように働きかけてほしい」「優先的に案件を紹介してほしい」などコンサルタントに自分を特別扱いするような要求をしてはいけません。そのような人だということがそのエージェントの履歴として残ってしまいます。
8.条件面で嘘をいたり経歴詐称をする
給与を高く伝えておき、良い給与の案件を紹介してもらう。こういったことは後で分かってしまいます。内定をもらってから、源泉徴収票を提出するタイミングなどで分かってしまい、内定取り消しということにもなりかねません。
また、エージェント側からは詐称する人であるというレッテルを貼られてしまい今後サービスを受けれなくなってしまう可能性もあります。また、経歴詐称は内定時のリファレンスチェック(身元照会)やバックグラウンドチェック(前職調査)などで分かってしまいます。リファレンスチェックは内定前にやることが多いので発覚すると内定は当然ですがもらえないでしょう。
転職エージェントとの面談でやっておくべきこと8選
1.必要な書類を提出しておく
事前に求められる書類「職務経歴書」と「履歴書」はできる限り事前に提出しておきましょう。自分について予め知ってもらうということだけでなく、書類がそろっているということは転職する気があるという意思表示にもなります。
明日にでも面談に望めるくらい準備万端な候補者には転職エージェントも優先的に案件を紹介してくれます。(実際にその日に紹介してくれることもあります。)
2.自己PRは簡潔に伝える
じつは転職エージェントは自己紹介をしてもらう際に転職希望者のコミュニケーション能力を見ています。そして、コミュニケーション能力はそのままエージェント内の評価として残ります。予め自己PRは用意しておき、うまく自分の強みであるスキルや経歴をPRできるようにしておきましょう。
3.転職意志と目的を伝える
当たり前のことですが、情報収集目的だけでくる希望者をエージェントとしても時間を使いたくはありません。なぜなら彼らの成果は転職して就業してもらうまで報酬が発生しないからです。
転職意志と目的がはっきりしていればちゃんと転職する意志があると見なされ案件も紹介してくれるでしょう。
4.自分を売り込む気持ちで経歴を伝える
営業マンが商品を売り込むように自分のことは自分が一番うまく売り込めるようにしておきましょう。笑顔や清潔感を持った候補者は、登録の際にポジティブな印象として登録されます。小さなことですがじつはそこまで見ているのが転職エージェントとの初回の面談なのです。
転職エージェントとの面談の流れについて
Step1.自己紹介(簡潔に)
まずはあなたが何の分野に専門性があるのかをヒアリングしますので、サマリーと経歴を簡潔に話しておけるようにしましょう。
例文)営業8年間やってきました。最初の5年は担当として、3年間はマネージャー経験があります。経歴はA社で3年B社で5年主にBtoBのクライアントに対してのITソリューション営業を行ってきました。など。
Step2.転職希望の理由について確認
転職希望の理由については、エージェントに伝える際には事実を伝えましょう。ネガティブな理由でも構いません。この理由が次の転職先に選別することに重要だからです。当然エージェント側のコンサルタントは色んな人を見てきているのでネガティブな理由でも理解してくれ改善できるポジションを紹介してくれます。
Step3.希望条件(特に給与面)の確認
希望条件は現職の条件を共有したうえで伝えましょう。
基本給:500円
ボーナス:100万円/年
退職金積み立て:50万円/月 など
現職の条件を伝えたうえで希望条件を伝えましょう。
ここでのポイントは、一見給与ではなくとも、退職金や401Kなどプラスで見せておくことでトータル額をアピールすることです。
退職金が年間50万円積みあがっていくようなケースでもそれも併せて伝えましょう。採用企業側としては、その額も加味したうえで条件を考慮してくれます。
Step4.働く条件面についての希望確認
リモートワークが希望か働く場所などについての希望を聞かれます。リモートやフレックス希望などあればベターな条件も最終的に全部が合致したポジションなどなかなかないので、まずは伝えてみましょう。
転職エージェントとの面談での失敗談
転職理由をあいまいにしてしまった
きちんと希望条件や現職の条件を伝えなかったため、転職自体考えている。案件の紹介はもらったものの様々な条件の異なるものがパラパラときてこれだというものがなく次第に連絡が途絶えていった。
(30代・女性 小売りマーケティング)
ワンポイントアドバイス:
希望条件や現職の条件はコンサルタントがマッチする案件の検索する情報ですので、きちんと伝えておきましょう。伝えておかなければお互いの時間の無駄になってしまいますが自分にピッタリあったポジションを紹介してもらえることもあります。
書類を準備せず面談に望んだ
面談の際までに準備するようにと言われていた履歴書や職務経歴書を準備しなかった。次の職場に求める条件部分もあまり考えていなかったため。結果的に案件を紹介してもらうことができなかった。
(30代・男性 ITサービス営業)
ワンポイントアドバイス:
職務経歴書をや履歴書は事前に提出しておくと当日コンサルタントが修正のアドバイスをくれたり、情報をもとに案件を紹介してくれます。できる限り予め共有しておきましょう。当日すぐに案件応募することも可能となります。
うまく自己PRができなかった
自己PRなど準備しないまま面談にいき、そもそもあまりスムーズにしゃべることができていなかった。強みも良く分からない、という消極的な伝え方をしてしまった。その時点ですでに「合致しそうな案件が出てきたら紹介する感じになります」と担当コンサルタントもあまり積極的ではなかった。
(20代男性 ECサプライチェーン)
ワンポイントアドバイス:
自己PRはあなたの強みをうまく話せているのかを見ています。また、コンサルタントが企業にあなたのことを推薦する際にも必要な情報です。事前にまとめておき、当日きちんと伝えれるようにしておくことがベストです。
おすすめの転職エージェント
JAC(ジェイエイシー)
ジェイエイシーは転職希望者の伴奏力が高いエージェントです。職務経歴書添削、面接前のシミュレーションや事前対策に十分な時間を使ってくれます。
また、私の採用企業側での経験では、担当コンサルタントの推薦力・対応の速さが他エージェントよりずば抜けていました。推薦するには候補者側との信頼関係がないとできないので、その点からも関係構築力の高さが見えました。
ジェイエイシーはチーム制で仕事をする会社なので転職希望者の希望条件に応じて適切な担当者を紹介してもらえます。
ビズリーチ
ビズリーチはヘッドハンターおよび採用企業が在籍し、あなたがマッチすると思ったポジションがあれば声をかけてきます。そのため1度の登録で採用関連の人々と会えるため効率的に転職活動を進めることができます。
あなたと相性の良いエージェントを探すためには、ビズリーチはまず登録しておきたいプラットフォームです。
転職サイトの【BIZREACH(ビズリーチ)】の公式サイトを見る
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職が初めての方にとっても分かりやすく、プロセスから丁寧に説明してくれます。特に20代30代で次のキャリアの方向性に迷っている人などにとっては、相談に乗ってくれる頼もしいエージェントです。採用企業からの信頼も高く、非公開求人を多く保有している印象です。
マイナビ転職
マイナビもCMでおなじみのようにヒアリング力に定評があり、転職希望者の満足度も非常に高いエージェントです。大手エージェントなので非公開求人も豊富にあるため、転職希望者にマッチした企業の選択肢を示してくれるでしょう。
まとめ
転職エージェントとの面談は、そのままその後の評価になり、転職エージェント社内で共有されます。よってそこまで肩ひじ張ることはありませんが、ポジティブな印象を与えるよう心掛けておくべきでしょう。
良い印象や評価を与えておくとその結果エージェント内で共有され、スピーディに案件が紹介されたり、優先的に非公開案件の紹介が来る可能性があります。
エージェントに行くときには時間をかけすぎる必要はありませんが、ある程度準備を整えたうえで臨みましょう。
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